約 1,031,385 件
https://w.atwiki.jp/ayako/pages/131.html
歌姫の浜崎あゆみすっぴん画像はものすごかった 櫻井翔はエリート一家だった 嵐 二宮和也のぷっくりお腹とキス画像 整形AKB48板野友美のアゴのシリコンがずれてきた 後藤真希の最新画像は頬がこけておばあちゃんのようになっていた 整形の河村隆一が太って顔面が激変 神田うのが化け物みたいになっている 整形の釈由美子と熊田曜子が2人とも進化していた 月9ヒロイン武井咲のヤンキー時代の画像 産後の奥菜恵が劣化しすぎてフィフィのようになっていた 吉川ひなの整形顔が劣化してまるで別人 人体整形?拒食症?ほしのあきの体に異常事態 大橋未歩のコマネチGIF画像 これは黒歴史 浅倉大介の売れる前の画像がすごすぎる 水野裕子の筋肉がすごい 15 item(s) Last-Modified 2011/10/02 20 42 57
https://w.atwiki.jp/gnazo/pages/47.html
霊夢 あだ名:れーむ 加入場所:初期キャラクター 基本ステータス:HP100、RP110 打撃 お祓い棒で殴る。打属性。威力100。 初期キャラでありながらリーチは全キャラ中トップクラス。 ちょっと遠くの敵を殴れる他、薄い壁越しに扉やスイッチを作動できる。 ただし下方向への判定は弱く、同じ高さに居る豆毛玉に綺麗にスカったりする。 威力、攻撃間隔共に最低レベルなのでボス戦には不向き。 射撃 通常射撃は前方へ針を撃つ。無属性で敵・壁を共に貫通しない。 完全に同一直線の軌道を飛び射程制限は無し。 ボタン押しっぱなしで途切れなく連射できるが、その分SPもすぐ切れる。 上射撃は斜め上に針。方向以外は通常射撃と同じ性能。 下射撃は斜め下に針。やはり通常射撃と同じ性能。 角度が浅いため遠距離から狙い撃てるが、逆に言うと離れないと当たらないためボス戦には不向き。 これらが真価を発揮するのは霊夢が静止状態で射線が通せるという状況の時。 正確な速射で敵を確実に排除していける。 また、狙いが正確なので地形サーチにも適している。 チャージアタック 座布団こと博麗アミュレット。残念なことにホーミング性能はない。 溜め時間ごとに1発、3WAY、5WAYと変化。 敵も壁も貫通する。面倒な箇所の雑魚処理に使っていくと良い。 1発の消費が20と非常に低くデフォルトで5発も撃てるのでガンガン使おう。 能力 博麗の巫女 ふっとばしUP、霊力最大値UP 強化1段階毎にふっとばし値が2、霊力最大値が10上昇。はっきり言って極めて地味な強化。 霊夢が好きでたまらないという方以外にはお勧めできない。 総評 初期キャラらしく普通の性能。ジャンプ力は美鈴と並び最低レベル。 攻撃力は後から加入する仲間に比べて劣るので、仲間が揃うほど出番が少なくなるかも。 ただし打撃の長さは特徴的で、変なところの扉を開けるのに便利。 その関連で死んでると地味に困るかも。 ボス戦には不向きなので道中で速射力とリーチを生かした雑魚排除役にした方が良い。
https://w.atwiki.jp/morigairekisi/pages/28.html
名前 霊夢(れいむ) 愛称 特に無し 性別 男 年齢 10代? 誕生日 5月23日 血液型 O型 性格 ウザいキャラを煽る。煽られたら開き直る。淫夢民。 出身 北海道(シンオウ地方ハクタイシティ) 趣味 ネットサーフィン、ゲーム 好きな食べ物 カレーライス 嫌いな食べ物 セロリとか臭いが強いもの 身長 170cm 体重 65kg Twitter https //mobile.twitter.com/reimu_russia <一言> みんな、荒らさないでねw 当wikiの管理人。 2010年頃に一時期出没した。その時のハンドルネームは紛失している。 2014年に森ガイ共産党を設立したが、ただのハリボテであった。 2016年の春に旧wikiの管理人代理となるが、荒しの出没により10月2日より当wikiに移転させる。 ハンドルネームの由来は、ただ単に東方が好きだからという理由だが、今となっては「何でキャラ名にしたんだろ・・・」と色々考えている。 2017年1月11日 殉職 最終執筆者 霊夢
https://w.atwiki.jp/konpaku_yomu/pages/31.html
vs 霊夢 -霊夢攻略Wiki 割り込み可能無敵技 技名 種類 攻撃属性 無敵時間 発生 空中 昇天脚 デフォルトスキル 打撃 入力完了~発生直前まで上半身無敵C版のみ発生後~攻撃動作終了までグレイズLvMAXで入力~攻撃動作終了まで打撃 13F 不可 霊符「夢想妙珠」 スペルカード 摩耗射撃 入力完了~暗転前まで完全無敵 暗転前9F暗転後11F 可 神技「天覇風神脚」 スペルカード 打撃 入力完了~発生まで完全無敵発生後~攻撃動作終了までグレイズ 暗転前4F暗転後6F 不可 神技「八方鬼縛陣」 スペルカード 摩耗射撃 入力完了~30Hitまで完全無敵 暗転前14F暗転後6F 不可 神霊「夢想封印」 スペルカード 摩耗射撃 入力完了~暗転前まで完全無敵 暗転前9F暗転後11F 可 クラッシュ属性持ちの技 中段 下段 溜め6A B亜空穴 溜め3A 立ち回り 近距離は妖夢の距離。しかし長くて早めの2Aと上と前に強く持続の長い6Aには注意。6Aは外れたと思ってHJしたら当たることも。中距離は危険距離、相手のjAは判定と持続ともに良性能なので迂闊にjA、J6Aで対抗しない。遠距離はガードが容易だが座布団地獄もありえる。不意の亜空穴に注意。 JAの判定は妖夢にとっても脅威。相手の上を取るよう心がけよう。超対空の2CがあるのでJ2Aは高いリスクを伴う。出し切る前に当てれれば逆に美味しいが… 転移多めの相手はきそうなところで2C、当身をまいておくのも良し。当身は見えたら半霊からコンボ、スペカを決めよう。 回避結界は6A後が安全。空中のjCを絡めた固めが強いため空中回避結界も頭に入れておくといい。 体力が少ないときに夢想封印をセットされたら要注意。射撃をガードしたら負け確定ということもある。
https://w.atwiki.jp/touhou_srpg/pages/16.html
博麗霊夢はくれいれいむ 名前 霊夢 タイプ 防御系 攻撃力 B 防御力 A 霊力 A 移動力 6 指揮修正 A スペルカード B 攻撃方法 名前 霊力 攻撃力 距離 相殺 コメント ホーミング弾 0 +0 近遠 × 基本攻撃 ニードルショット 2 +2 近 × 近距離技 陰陽弾 6 -5 近遠 ○ 射程2 ホーミング弾2 4 +0 近遠 × 攻撃回数多 全方位弾 6 +0 近 ○ 近距離のみだが超防御 封魔弾 10 +12 近遠 ○ 乱愚風1だと射程6※ 夢想天性 20 +7 近遠 ○ 自身無敵 ザコ 治癒妖精 歩兵系 戦闘妖精 歩兵系 防御妖精 防御系 弓矢妖精 遠距離系 カラス 飛空系 魔法 ヒール1 シールド1 アタック1 ヒール2 フォースヒール1 アタック2 コメント 乱愚風1の主人公。 すべてのステータスが高く、聖魔剣装備可能。霊力にもザコにも恵まれるが 強敵がほとんど歩兵系であり、ラスボスまでも歩兵系であるために 油断すると敵ボス特攻で即死する事が多い。 夢想天性は判定がとても強いが消費が高すぎるのが難点。 封魔弾は乱愚風1だと射程6だがアペンドすると射程1になる。
https://w.atwiki.jp/touhoiuyamaut/pages/14.html
山内狼幻想郷の [[博麗 霊夢]] 黒髪に大きな赤いリボン、顔の両脇に髪を一総まとめて赤い髪飾りを付けている。髪の長さは作品によってまちまちだが、後の作品になるほど長くなっているようにも見える。この作品では、一応だが長い黒髪「ロングテール」の女性巫女という意識は、高い。 博麗神社32代目神主 博麗 景元の娘にあたる。 霧雨 魔理沙とは、ライバルで親友同士という意識が根強い。また 強敵、ゼクロスを倒した後、言ったセリフが 「私は、博麗 霊夢。運命や自主には、逆らえない。霊気を持つ者」と語っている。息子の博麗 零士曰く。「家の神社は、ご先祖様がこの神社の祖神だと言われているほど。アサシンは、四人で倒したがほどなく人里の人間と結婚している。 能力は、「空を飛べる程度の能力を持つ。」人間族で初めて能力を持った女子が博麗 神社で産まれた。それが霊夢。魔理沙の方が年上なのだが魔理沙は、元々、商人だったのであしからず。 よく使う従来のスペルカード 物語の中で使う従来のスペルカードは、👇 霊符「夢想封印」 霊符「夢想封印 散」 霊符「夢想封印 集」 夢符「二重結界」 神霊「夢想封印」 神技「八方鬼縛陣」 力符「陰陽玉将」 夢戦「幻想之月」 神霊「夢想封印 瞬」 霊符「陰陽印」 霊符「博麗幻影」 神技「天覇風神脚」 神技「八方龍殺陣」 霊符「夢想封印 夢限」 携行品スペルカード・ 武器など ホーミングアミュレット 拡散アミュレット 博麗アミュレット 陰陽弾 陰陽玉 など ゼクロス・ドラゴンにもう一度戦った 後に使うスペルカード 封府「霊夜叉嚴流幻」 封府「博麗大封印結界」 丞府「上竜巻の神」 祭府「下竜巻の神」 祭府「麗龍霊脚幻」 霊府「大夢想封印 敵無」 非携行品・武器など ハンターアミュレット 博麗ハンターアミュレットなど 多数登場する。 結局、過去との邂逅でほぼ終えた感じだった。中でも博麗大結界は、母親が使っていたスペルカードなのでとにかく結構、使える。 一応、小説で書いたので自機的存在では、ある。 なお、過去の邂逅編「281話から313話まで」で父親、景元と母親、霊子が魔物に殺されて幻想郷の人達を救う為、一時的な解決策として人里には、かなりの結界が敷かれていたりする。この事から博麗 神社の巫女となったりした。 FFやFEの職業で言うと赤巫女という薙刀や和弓を扱う巫女で戦闘に長けた巫女だ。早苗の緑巫女とは、違い、若干、平和的では、なくなっている。
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/1308.html
霊夢37 Megalith 2011/02/16 ある初夏の日、ふと出かけた山歩きのさなか、現世から迷い込んだ世界、幻想郷。 岩場から落ちて大けがを負っていた俺を助けてくれたのは博麗神社の巫女、霊夢。 巫女衣装にはちょっとほど遠い不思議な衣装に最初は面食らったが、 流れる黒髪、赤いリボン、そしてその愛くるしさと性格から、 怪我を負って療養していた俺はだんだんと霊夢を好きになっていった。 怪我が癒え、霊夢の為に神社に居候することを決め、俺は霊夢と一つ屋根の下に暮らすようになり、 そんな生活を数ヶ月繰り返して、俺は霊夢に告白した。 霊夢も初めは初めてのことで驚いてはいたが、向こうも満更ではなかったようで、 俺の思いを受け入れてくれた。 この時俺は、この幻想郷で一生暮らす事を誓ったのだが・・・ 周りの連中から揶揄と祝福を受けながら暮らす俺たちに、幻想郷を統べる妖怪の賢者、 八雲紫が降りてきた。 なんでも噂をかぎつけて祝福がてら冷やかしに来たそうだが、本心は別のところにあり なんでも10月で1年で1度だけ下界に戻れる時があり、今回は俺に顕界の里帰りをさせてくれるという。 せっかく戻る機会、是非とも俺は霊夢を外の世界に連れて行ってあげたかった。 二つ返事で承諾すると、1週間という期間限定で外の世界に送ってくれるという。 旅支度を調え、不思議なスキマを通り抜け、俺は霊夢と元の顕界、俺の故郷と実家に連れて行った。 実家ではずっと失踪していた息子が妙齢の若い娘が付いてきたことでてんわやんわとなり、 霊夢は引っ張りだこだった。 あの巫女服も意外に受けが良かったし、お袋は嫁でもないのに洋服などを買い込む始末。 また外の世界は初めての霊夢には色々な場所へ連れて行った。 流石にスペカや空を飛ぶ能力は封印してもらったけど。 そんな生活を送り、いよいよ6日目となり、幻想郷に戻る日が近づいてきた・・・ ギュルルン、ギュルルン・・・ 霊夢「ちょっと、このバイクって奴?すごく匂うんだけど・・・」 ○○「まああっちでは油をそんなに使う訳じゃないからな、確かにきついかも知れない」 霊夢「でも、こっちの人間って不便よね。あたし達と違って空飛べる訳じゃないから こうやって乗り物に頼らないといけないし・・・」 ○○「そうかもしれないけど、このバイクは別だ。霊夢が空を飛んで感じる、風の流れを 同じように感じられる、良い代物だよ」 霊夢「ふーん。でもこのヘルメットとかあと上着?、とっても重くて面倒よ。 あーあ、幻想郷だったら空飛んで楽ちんなんだけどなー」 ○○「まあ物は試しって事で。そりゃ!」 そして俺はアクセルを回す。 ブロロロロオロ!ドクドクドクドクドクドク! ようやくエンジンが暖まりかかったようだ。 ○○「よーし、じゃあ信州の旅に出発だ・・・とりあえず神奈子様と諏訪子様がこっちに来ているって言うし。 しかししばらくこっちとお別れだが、良いのか?」 霊夢「まあ、こっちの旅も結構堪能したから良いわよ。それに良いお茶も一杯買ったし。 ありがと、○○」 ○○「ええ、どう致しまして。じゃあ俺が乗ったら霊夢、後ろに乗って」 霊夢「わかったわ。でもちゃんと運んでよ?」 ○○「霊夢が重くなければね」 霊夢「・・・こっちの世界でもスペカは実現可能よ?」 ○○「今回はお茶とかそういうのがあるからだよ」 霊夢「・・・もう」 赤と黒のアクセントが光る俺のモタード型XR400。 こいつも今でこそ手元にあるが既に生産が止まっており、いずれ幻想郷に流れ着くことは確実だ。 っていうより昨年からオフロードのバイクが続々香霖堂近くで確認できた。 香霖堂の店主、霖之助さんにはバイクというものがなんだか概念を説明したが、 バイクの修理を出来るエンジニアが幻想郷にはまだ流れ着いていないらしい。 しかし最近の常連、河童のにとりが興味津々に内燃機関をのぞき込んでいるのをよく見た。 河童集団が最近よく見られるのはそういうことなのだろうか。 いずれはエンジンを解析するに違いない。その時には幻想郷で乗り回せるかな? ガソリンが流れ着くか、わき出るかは微妙だけど。 そして、一番重要なこと。 それは俺が下界に次に戻ってくる保証もない・・・ 親父とお袋には旅に出ると行っておいたが、本当の事は密かに置いて来た手紙に記しておいた。 親不孝な息子でゴメンよ。 最後に一家で取った写真を1枚だけ、ポッケに忍び込ませる。 感傷に浸ってもしょうがない。 俺には霊夢という大事な存在がある。 それを守る為のエゴくらい、許してくれ・・・ じゃあ霊夢、行こうか。 ○○「よーし霊夢、しっかり掴まってろよ!」 霊夢「じゃあ帰りますか、博麗神社へ」 スタンドを外しアクセルを回す。 さて、目指すは長野のあの神社。 とりあえず旅の祈願とこちらに戻ってきた二柱へのご挨拶を経て、北信にて紫様と待ち合わせたのち 霊夢と一緒に幻想郷に戻る。 また神隠し扱いか・・・顕界にご迷惑をかけっぱなしだなぁ、アスファルトの光景を流しながら考えていると 霊夢「すごい・・・景色が流れて・・・何か風も見える・・・」 ○○「そうだろ?長野はもっと凄いんだぜ。とっておきを霊夢に魅せてやるよ」 霊夢「こういうのも、また悪くないわね・・・」 ○○「いつでも乗せてやるよ。霊夢が望むなら」 霊夢「・・・うん」 都内を抜けて高速道路に乗る。バイクは快調だ。 そしてやってきた諏訪。本宮と秋宮をそれぞれ参拝したあと、約束の前宮へ。 諏訪子「やっほー霊夢。良い神社でしょ-。湖とか温泉とか色々みていってよ-」 神奈子「まあ博麗神社もこれくらいの規模があれば、参拝客には困らないと思うが、どうかな」 霊夢 「・・・アンタら、幻想郷に戻ったら絶ー対ーぶちのめしてやるから」 ○○ 「オイオイ霊夢、物騒なことはやめろって!。こっちでは曲がりなりにも一の宮の神様・・」 霊夢 「そんなのアタシには関係ないわ。大体この前宮ってさっきの所と比べるとかなり貧相なところじゃない」 ○○ 「さっき見てきた神社2つに比べればそうかもしれないが、ここは4つで1つの神社なんだぜ・・・」 霊夢 「え、ええええ!?」 諏訪子「そうなんだよねー。○○、あとで春宮連れて行ってあげてよ。どうせ北に向かうんでしょ?」 神奈子「もちろん翡翠のおみくじは引いて帰ってくれ。きっと幸運間違い無しだ、○○」 ○○ 「諏訪子様、神奈子様・・・お心遣い大変痛み入ります・・・」 霊夢 「○-○-?!早苗みたいな言葉遣いして、あんたどっちのみーかーたーなーのーよー?!」 ○○ 「あああ、霊夢さん落ち着いて落ち着いて!俺は霊夢さんしか見てないから!好きだから!愛しているから! それに諏訪子様と神奈子様は神様なんだし!!」 霊夢 「な、な、なにどさくさに紛れて変な、ちょ、ちょっと、て、照れるじゃないのよ!!」 諏訪子「あれー、あの翡翠って縁結びの効果あったっけ-?神奈子-?」 神奈子「さあ。でもおみくじ引く前だから、関係ないんじゃないの?それにしてもお熱いこと。 私達も当てられそうだわ」 霊夢 「うーーーー、絶対あとでコテンパンに・・・」 ○○ 「ま、まあ、お、俺も悪かった・・・でも霊夢さ、さっきの言葉は、神様に誓って、嘘じゃないから・・・」 霊夢 「し、知らない!!ちょっと○○、こんな居心地の悪い神社、とっととおさらばするわよ! 諏訪子!神奈子!次にあったらアタシの奥義を見せてあげるんだから!」 ○○ 「失礼しましたー」 諏訪子「なんかあーうーのも、ちょっとうらやましいよね、神奈子」 神奈子「ああ、用事が終わったら留守番している早苗を連れて行ってあげるか・・・」 こうして俺は機嫌の悪い霊夢を道中なだめながら春宮に行き、そして宿泊地に向かった。 紫様との待ち合わせは木島となっていた。見せたい物があるらしい。 でも流石に諏訪から木島への道は長いので、今日は山田温泉で泊まることにした。 霊夢「あーさっぱりした。あそこの温泉って良い感じね」 ○○「古くから秘湯で有名だからね。ただ混浴がないのだけは残念なんだが(笑)」 霊夢「・・・もう、いやらしいんだから・・・」 ○○「でもどうだい霊夢、長野の風は」 霊夢「そうねー、何となくあっちの風に似ている気がする」 ○○「秋なんかは特に心地よい風が感じられるぜ。けど冬は雪が多いからこんな風を感じる事は出来ないんだ・・・」 霊夢「ふーん」 ○○「明日は山間の中を通るから、綺麗な景色がよく見られるよ」 霊夢「ほんとに?」 ○○「ああ、途中でおやき買って2人で食べよう。もちろんお茶付きでね」 霊夢「アンタにしてはイキなことするじゃない。じゃあせっかく買ったお酒で乾杯するわよ。昼間の分、付き合いなさい」 ○○「へいへい。ただ飲み過ぎてどうなっても知らないよ-」 霊夢「・・・・・別にアンタだから、良いんじゃないのよ・・・」 ○○「・・・・・」 俺は買ってきた真澄の生搾りに手を付けることにした。 ○○「あー、このキリッっとした感じがたまらないねー」 霊夢「外のお酒も美味しいものね-」 ちょっと紅潮した霊夢の顔がとても愛おしい。 ○○「霊夢、そんな離れてないで、もうちょっとこっちにおいでよ」 霊夢「も、もう・・・何しようって、いうのよ・・・」 ○○「二人で寄り添ってお酒飲むだけですが、何か」 霊夢「・・・・それだけで、終わらないくせに・・・」 まあ、こういう話も、悪くないわな。ではいただきまーす。 山田温泉でしっぽりしたあと、俺と霊夢を乗せたバイクは小布施を経由して中野に抜ける。 途中の小布施は今が栗の旬、故に栗強飯をお昼に食べる。 霊夢「あんまり強飯って食べたこと無いけど、結構美味しいのね」 ○○「ああ、今が旬だからな。もしかしたら穣子様と静葉様が途中立ち寄っていったかも知れないけどね」 霊夢「こんどあっちでもこういうのせびってみようかしら」 ○○「おいおい・・・」 そして中野を抜け野沢方面に抜け、俺はある古びた駅舎のある所にたどり着いた。 旧木島駅。 今はバス以外誰も見かけることのない場所。 そして、そこには約束通り、あの人がいた。 霊夢「なんでこんな所を待ち合わせの場所にしたのよ?」 紫 「あら、ご愛想ね。こういう所こそ待ち合わせに良いでしょ?誰も居なくて」 紫様が駅舎の前で突如実体化した。霊夢は気配で察知したらしい。 ○○「紫様、ご無沙汰です」 紫 「あら○○、久しぶりの外の世界はどうだった?」 ○○「はい、まあ色々と・・・」 紫 「そう、でも満更ということでも無いでしょ。霊夢をお友達に紹介し回ったのかしら?」 霊夢「紫!、そ、そこまで言わなくたっていいでしょ!」 紫 「あらー、ご名答のようですわね。妬けること妬けること」 ○○「からかわないで下さいよ紫様、確かに親や友達に自慢、いえ紹介しまわったのは事実だし。 霊夢「○○・・・もう・・・・」 紫 「その様子だと、”きのうは おたのしみ でしたね。”」 霊夢「・・・・!」 ○○「!?」 紫 「あらあらうふふ、初々しいわぁ」 霊夢「・・・・あとで覚えて置きなさいよ、紫」 ○○「は、はははははは」 しかしこんなやり取りをしていて、外の世界ではコスプレイヤー以外ではまず見られない ドレスと導士服を着こんでいる紫様を見ても誰もいぶかしげないのは、やっぱり賢者故の能力なのだろうか。 紫 「さて○○、いよいよ幻想郷に戻るときが来たようだけど、やり残したことはある?」 ○○「紫様、こいつとこのヘルメット2つ、家に戻しておいて下さい」 紫 「ずいぶんお安いご用ね。それだけでいいの?」 ○○「はい、もしかしたらあっちでご対面できる、かもしれない曰く付きのバイクですからね。 駄目になるなら家で駄目になって欲しいし・・・」 霊夢「○○・・・」 ○○「でも、最後に霊夢と一緒にツーリングできて良かったですよ」 紫 「そう、分かったわ」 ○○「よろしくお願い致します」 紫 「さて、じゃあ2人とも戻る前に、ちょっと見せたいのものがあるのよ。その駅の中に入ってくれないかしら」 霊夢「え?こんな古びた建物の中に?」 ○○「ここって既に廃線になっているところですよ?紫様でもご存知ですよね?」 紫 「だからこそよ。さあ、2人とも入って頂戴」 霊夢「何を考えているのかしら、紫は」 ○○「うーん」 ちょっと引っかかる物を感じながら駅舎の中に入る。 駅はホームだけが残り、構内はレールが取り払われ、雑草が怏々と茂る光景が目に映る。 霊夢「なによ、古びた建物と雑草が茂る所じゃない・・・」 ○○「そうだ・・・ってえええ?」 気が付いたら俺と霊夢は駅のレールの上に立っていた上に前から電車が近づいている。 霊夢「な、なによあれ、あれって」 ○○「ちょ、ちょっとこれって、霊夢ぅぅぅぅぅ!!」 反射的に霊夢を抱き寄せ、俺は目をつむった・・・ 紫 「はい、お疲れさま-」 紫様の声を聞いたとき、俺と霊夢は元の場所にいた。 霊夢「ちょっと紫!!冗談にも程があるわよ!こんな所でアンタのスペカ見せて○○になんかあったらどうするのよ!!」 ○○「あ、あれって確か・・・」 紫 「どう、実際の廃線「ぶらり廃線途中下車の旅」のスペカの感触は」 霊夢「え?アレって」 ようやく引っかかるものが取れた。 ○○「そうですよね、ここって長電木島線の終着駅。そしてアレは・・・」 紫 「○○が良く乗っていた地下鉄の電車。この駅と路線と共に、既に幻想入りした、古き良き思い出・・・」 ○○「そうですよね・・・」 紫 「○○、貴方は、また幻想郷入りすることによって、その存在がどんどん忘れ去られることになるでしょう。 それでも貴方はあっちに行くことに躊躇いがなかったか、ちょっとだけ試させてもらったわ」 ○○「紫様・・・俺は・・・」 紫 「それ以上は言わなくてもいい事よ。幻想郷は総てを受け入れる。それはとても残酷なことって、貴方も知っているでしょ?」 ○○「はい、もちろんです」 紫 「あの時、霊夢を確かに庇った。その事実だけで貴方の決意は十分理解したわ」 霊夢「ちょ、ちょっと、紫。どういうことなの・・・よ?」 紫 「あらあら、知らないというのは本当に罪と言う事だわ。全く貴方は本当にハクレイノミコの自覚があるのかしら?」 霊夢「アンタが勝手に話を進めているからでしょ-!!」 ○○「オイオイ霊夢、もう良いだろ。紫様は俺に本当にあっちに戻る決意を確認したかったんだ。俺は普通の人間だし スペカが使えるわけでもない。でも、だからこそ霊夢と一緒にいたいし、自分が忘れられても霊夢と一緒なら それでいい。そういうことさ」 霊夢「○○・・・」 思わずお互い見つめ合ってしまった。顔が赤い。 しばしの静寂のあと、 紫 「あー、お二人とも?そろそろ、いいかしらねー」 ○○「あ、はい」 霊夢「な、なによぉ・・・」 紫 「じゃあ、貴方たちを幻想郷に戻すわよ。いいかしら」 ○○「お願いします」 霊夢「さっさとやっちゃってよ」 紫 「私は残った仕事を片付けてからそっちに戻るから。それじゃまた後で」 そうして、俺と霊夢は上から来るスキマに包まれた。 現世の画像が歪み、幻となり、消えた後紫と目玉が多く光る空間に包まれる。 あんまりこの光景って好きじゃないんだけどなっー・・・ 気が付くと、俺と霊夢は神社の境内に立っていた。 霊夢「あー、戻ってきたわ-。何だかんだ言って、自分の家っていいわよねー」 ○○「そうだな」 霊夢「じゃあ、買ってきた荷物とか置いて、お茶にしましょ?アンタのオススメのこのおやきを食べながら」 ○○「蒸し器あるかい?蒸かし直すと美味しいんだよ?」 霊夢「えーと庫裡にあったかしら。ちょっと探してみるわ」 ○○「じゃあ荷物はやっておくよ」 霊夢「○○、お願いね」 霊夢は言った。「自分の家っていいわよねー」と。 俺の家はここではない。 けど、これから俺の家になる。そう思える気がした。 霊夢と暮らす幻想郷の話は、多分一杯書き留められる事になるだろう。 今はワープロが流れ着いている。阿求さんにも教えてあげよう、物語を書き連ねることを。 あと、俺と霊夢の話もね。 この紅い服の巫女が、俺の、永遠の巫女となりますように。 糸冬 旧イチャスレ上げた自分の作品を若干修正を施し、改めて上げなおしました。 Coahは便利さね、読むのには。 しかしもう2月なのに10月頃の話題のそんなSSで大丈夫か? あーでもバイク乗りてー。 信州また旅行して-、そして霊夢に乗(ry Megalith 2011/07/06 「――で、あなた達って、いつ結婚するのかしら?」 「「……だからありえないって」」 幾度目かわからない問い掛けに、幾度目かわからないまったく同じタイミングで回答。 意図はしていないのだが、何故かよくこうなる。 そろそろ煎じすぎて出涸らしな感が否めないが、なるものは仕方ない。 「そんな事言われてもねぇ。貴方達、一緒に何年も暮らしているでしょう? 皆"そういう"認識にもなるってものよー?」 頬に手をあて困惑を混ぜた苦笑いを浮かべているのは、 ここ幻想郷では知らぬ者がいないであろう、大妖怪の八雲紫である。 ……ゆかりっちと呼んだら蹴られた事は忘れない。絶対にだ。 因みに隣で俺とシンクロしやがったのは、博麗霊夢。俺の家主である。 ちらと見やると目が合った。おい何故俺を睨む。何も非はないだろうが。 「わたしがこいつとくっつくとか、天地がひっくり返ってもありえないから」 「……そいつにはまったくもって同感だな。地獄の閻魔が仕事をサボるくらいありえないぜ」 「あ、あらそう。なら聞くけど……その気がないならどうして一緒に暮らしているのかしら」 これまた幾度目か分からない問い掛けだな。二人揃って溜め息をつき、簡潔に回答する。 「「今更引っ越(させる)すのも面倒だし、二人なら家事の手間も幾らか省ける。利害の一致ってやつだ(よ)」」 幻想郷へ迷い込み、保護してくれた霊夢の家に居候になり、 もうどれくらい経ったっけか。三年?四年?忘れた。 里へ降りる話は何度も来ていたのだが、自他共に認める超面倒くさがりだった俺は、 引っ越すのを延ばし延ばしにしていた。しているうちに誘いも消えてしまい、今に至る。 俺と霊夢の関係は、そんな惰性の延長線上に存在していた。 段々頬を引きつらせていく大妖怪に疑問を覚えつつ、会話を続ける。 「で、買い物途中の俺達を呼び止めて何の用だゆかりっ「蹴るわよ?」――紫、さん」 「ああ、うん。そろそろまた宴会の季節ってことで、皆うずうずしちゃって……」 かく言う私も、と頬を掻くゆかりっち。 歳を考えろ歳と脳内で呆れていると、不意に左腋に痛みが走った。 痛みの元へ目をやると隙間が閉じていくのが見えた。野郎、思考まで読めるのか。 「アンタが解り易すぎる面してるだけよ。……で、場所貸せっていうんでしょ?」 俺を一瞥してから紫に視線を戻す霊夢。 そんなに分かりやすいのかと落ち込む俺の横で、どんどん話は進んでいた。 取り残されてはかなわぬと聞き耳を立てる。 ――日時は今夜。面子はほぼフルセット。暇人だらけだなオイ。 ――食材と酒は各自持ち込みか。咲夜ちゃんや苦労人こと鈴仙あたりが 過不足なくしっかり用意してくれるだろう。 ……そろそろ場所を提供する霊夢への謝礼の話だが……出番だぜ、俺。 聴覚から視覚へ優先度を渡してやると、両の掌をあわせて 分かりやすい"お願い"のポーズを取っている紫の姿が見えた。 何故かそういうポーズが似合うのはこの際気にしない。しないんだってば。 「というわけなんだけど――ダメ?」 「んー、"水道水"を三ぼ「六本だ」――またアンタは人の……はぁ、どうする?紫」 霊夢の出した甘めの条件を咄嗟に上書く。 ――こいつはとかく金品には疎いところがある。 自分が楽しけりゃそれでいいのよとは霊夢の弁だが、 少しくらいプラスアルファが出るように俺が口を出す毎日だ。 ……お前だって出がらしの茶ばかりは嫌だろう? うんざり気味の顔をした霊夢から視線を外し、ぐぬとたじろぐ紫相手に交渉を始める。 「さ、三本半で何とか」 「五」 「むむ……四!」 「四――と四半。それでダメなら余所を当たるんだな」 「むー……もう、仕方ないわね。それで手を打ちましょう!」 「おう、毎度あり。後で納品よろしくな」 高めに吹っかけて狙い目で落とすのは商談の基本だ。 半ばやけくそといった感じの紫と、営業スマイルの俺。 勝者は一目瞭然だ。 自慢してやろうと隣を向くと―― 「……話はまとまった? ほらさっさと買い物の続き済ませるわよ、○○……ぁふ」 ――すげえ退屈そうな顔した奴がいた。もれなくあくびつき。 得意げな気持ちも見る間に萎れていく。 ……そうだな、お前は昔っから興味の無いことに関しては ほんとどうでもいいってスタンス取る奴だったな。 畜生。 「……ああ、終わったよ。終わりましたよ。そんじゃまたな、紫さん」 「あっ――紫も食材くらいは持ち込んでよね? 咲夜あたりが何とかするだろうけど、うちはそんなに余裕ないから。 それじゃ、また後で」 ひらひらと別れの挨拶代わりに手を振り、歩きだす。 それに気付いた霊夢も手短に挨拶を済ませ、直ぐに隣に駆け寄ってきた。 「置いてくなばか」 「すまんすまん。……なあ、買い出し、何残ってたっけ」 「アンタ、それわたしに聞くの何度目?」 「さて、忘れちまったなぁ」 「三回目よ。……まさかもうボケが……」 「うっさい。大体俺はまだ二十代で――」 喧々囂々と尽きぬやり取りを繰り広げながら歩いていく二人を見、 一人残された紫はぽつりと呟いた。 「……どうみても仲のいい恋人か夫婦にしか見えないのよね。 私の目も曇ったのかしら……」 「「「かんぱーい!」」」 時は過ぎて夜の境内。 最初の音頭を取るだけ取り、後は皆好き勝手に騒いでいる。 俺はというと、霧雨の嬢ちゃんや各界の大物といった 馴染みの面子に一通り挨拶だけ済ませた後、一人裏手の縁側でくつろいでいた。 「騒ぐ酒も悪かないんだがな」 やはり静かに愉しむ酒は旨い。 あそこにいると愉しむよりも騒がしさが先に立ってしまう。 なんとなく静寂に浸りたかった俺は、酒瓶片手に退散していたのだった。 脇に置いているのはお察しの通り"水道水"。 盃をくいと傾け残りを煽り、頭上に輝く月を見上げ―― ふと人の気配がしたので視線だけ動かす。 そんな気はしていたけれど、やはり霊夢がきていた。 「あ、やっぱりここにいた」 「いちゃ悪いかよ」 「べーつにー。ただ、もう少し位皆の相手しなさいよね。 もっと話を聞きたいって人達もいるんだから…… 紫に関しては、アンタが秘蔵の酒をふんだくったせいで荒れてたけど」 「あー、開始した時からジト目で睨まれてたから予想はしてた。 しかし、お前もこっちに来たって事は落ち着いたのか?」 「全然。付き合いきれないわよあんなの。 どうせ暴れて幽香あたりに沈められて終わりじゃない?」 心底面倒臭いといった風に肩を竦める霊夢。 お前、自分の後見人的人物になんちゅう…… 「隣」 「勝手にしろ。ただし盃は一つしかない」 「ん」 呆れ顔の俺なぞ見なかったかのように、隣にすとんと腰を落とす。 「月がきれー……」 「……だな」 「お饅頭みたい」 「いや煎餅だろ」 「えー」 他愛ない会話を聞きながら、酒瓶を手に取り盃を満たす。 ……つまみか何か拾ってくればよかったな。失策だ。 「あ、早速飲んでる。なくなっちゃうじゃない」 酒瓶のラベルを見咎めた霊夢が口を尖らせる。 「お前らと違って俺はゆっくり飲むから問題ない。 そもそもお前と二 三で分けたろうが。これは俺んだ。」 ただでさえいつも分け前は多めにしてやってるってのに。 これ以上俺から何をむしり取ろうってんだ? 「アンタの物は半ば私のモノだし。ちょっと味見ー」 「あ、おい!」 言うが早いか、霊夢は俺が手に持っていた盃にぐいと身を乗り出し、 こくこくと先程注いだ酒を飲み干してしまった。 「ぷは。んー、やっぱり美味し」 必然的に近くなってしまった距離から、幸せそうに頬を緩める顔を見て、 ――黙ってりゃ可愛いのに。 なんて昔零した事を不意に思い出した。 「つまみないの?つまみ――○○、どうかした?」 目の前に突き出される、さらさらした黒髪、 芯が強そうだがまだ少し幼さを残す瞳、すらっとした鼻筋、柔らかそうなくちび―― ええい、落ち着け俺。 「……いや、何でもない。つまみは品切れだ。残念だったな」 「ふーん、そう……ならいいわ」 それほど重要でもないのだろう、どうでもよさそうに相づちを打つと、 また霊夢は俺の隣にちょこんと座った。 視界から麗夢が消えたことで幾らか落ち着きを取り戻す。 こいつにはもうちょっと慎みって奴を教えなければならんらしい。 出会った頃からちっとは淑やかさを身に付けたかと思ったが、まだまだだな。 「……ね」 「ん?」 右肩に僅かな重みを感じた。 「今日で、五年目」 「……もうそんな経ったか。つかよく覚えてんな」 幻想入りをした当人が既に忘れかけているのだが、彼女は律儀に覚えているらしい。 「何となくかしら……うん、何となくよ」 「そうか」 「別に出会いが衝撃的だったからというわけじゃないからね」 「はいはい」 「むー……その言い方、ちょっとむかつくわ。てい」 「ぎゃーす」 ぽかりと威力のない拳が飛んできた。 三発目あたりでミットに収めるように、左手で受けとめる。 「……ねぇ、○○?」 「何だ?」 左手の中で拳が開かれ、俺の指に小さく絡む。 「……天地が一回転したら、わたし達はどうなるのかしらね」 「――サボった勢いそのままに辞表も提出、ってか」 「そ」 お互い何を言いたいかは分かっている。伊達に長い付き合いしてるわけでもない。 ――隣にいる霊夢。 まだ俺の胸元位までしか背の無かった彼女は、今では俺の肩より上になる位までに成長した。 ガキだガキだと思って、意識しないようにしていたが―― 「"私"はもう、子供じゃないよ?」 「っ」 考えを読まれたような気がして、思わず霊夢の顔を見る。 怒っているわけでもなく、ただじっと俺の顔を見る、一人の女の顔がそこにあった。 「出会った頃の、聞き分けのないガキじゃ、もうないんだからね」 「すまん」 「貴方の隣に並び立てるくらいは、大きくなったわ」 「……そうだな」 絡み付く指を優しく握り返し、右手で彼女を抱き寄せる。 「お前ももう立派な大人だよ。……だから、漸く言える」 「そうね、私もずっと温めて来た気持ち、漸く口に出来るわ」 「「……好きだ(よ)」」 ――初めてのキスは、アルコール臭かった。 翌日。 太陽がまだ低いうちではあるが、至って普通に目が覚めた。 何も変わらない、いつも通りの朝だ。 強いて違いを挙げるならば、あの後宴会場を一人で片付けた為、体の節々が痛いくらいか。 「くぁ……んぎぎ」 草履を履いて、庭で思い切り背伸びをする。 ごきごきと体の節々が快音をあげた――うん、気持ちいい。 「おっさんくさー……ぁふ」 開け放っていた襖から、目を擦りながら霊夢が姿を覗かせる。 「うるせぇ。お前もやってみれば分かるさ。存外気持ちいいんだぜ?」 「んー……そうねー……」 よたよたと眠気を隠そうともせず、庭へ出てくる霊夢。 危なっかしい足取りで俺の隣へ来たかと思うと、 「ん~~――ぁ、あら?」 盛大に伸びをした反動か、バランスを崩してしまった。 咄嗟に手を伸ばし、抱き抱えるようにして支える。 「思い切り良すぎだバカ」 「……えへ、○○ー」 驚いた顔をしていたのも束の間、蕩けた顔のまま俺に抱きついてきた。 いや、あの、うん。こいつ誰? 昨日からのあまりの変わり様に、軽く思考が停止しかける。 「……昨日、途中から姿消してたから何かやっていたことは予想してたけど……」 腕のなかのやわらかい感触を持て余していると、不意に横合いから声がした。 「一体何が起こったの?○○……」 困惑やら驚愕やら色々な感情をミックスした顔をした紫が、隙間から顔を出していた。 「あのね、紫、知ってる?」 俺から離れようとしない霊夢は、顔だけ紫に向けるとこう言った。 「昨日、天地は二度ひっくり返って、一周したのよ?」 「……だそうだ」 口を塞ぐことも忘れた紫と、立ち尽くす俺と、俺にしがみつく霊夢と。 あんまり普段と変わらない気はしたが、俺の腕の中の温もりだけが、少しだけ違って感じた。 後日、「ついに」とか「やっと」とか、そんな修飾子がふんだんに使われた状態で 俺たちの挙式が新聞記事となるのだが、それは別段話すような事でもないので割愛させて頂く。 今が少女なら、数年経てば彼女らも立派な女性になるはずなわけで。 妄想の勢いのままに書き散らかしてしまいました。 改良すべき点などありましたら、どんどんご指摘くださいませ。 Megalith 2012/02/14 今日は2月14日 外の世界ではバレンタインデーと呼ばれる日だ。 その日は自分の愛する異性に日頃の感謝を込めた贈り物をする。 近年の日本では、女性から男性へチョコ等の甘いものを贈るのが一般的になっている。 と言っても、幻想郷にそんな風習はない。 幻想郷に来てから二年が経つが、そんな素敵なイベントは起きたことがない。 「随分と気の抜けた顔してるわね○○」 なんてことを考えていると、一人の少女が俺の家を訪ねてきた。 彼女は『博麗 霊夢』 幻想郷の異変を解決するスゴ腕の巫女さんだ。 霊夢との付き合いは二年前、俺が幻想郷に迷い込んだ時からだ。 記憶も曖昧に幻想郷を彷徨っていたところを彼女が保護してくれたことが切欠だった。 保護されてしばらく一緒に暮らした後に、俺は今住んでいる人里はずれにある家に移った。 住居を移った後も彼女との交流は続いている。 「おぉ霊夢か、どうした急に」 「近くに来たから寄ってみただけよ、上がっていい? 」 「別に構わないけど… 」 突然の来訪に驚いたものの、霊夢を家に上げる。 普段は俺の方から彼女の神社を訪れるので、彼女から訪ねてくるのは珍しいことだった。 「今日は良いお菓子があるの」 「……明日は大雪か」 「どういう意味よ」 珍しいことが重なるものだ。 いつもはお金にうるさいドケチの霊夢が手土産を持ってきたと言うのだ。 天変地異を疑いたくもなる。 「待っててくれ、今お茶を淹れるから」 「出涸らしは嫌よ」 霊夢を居間に座らせ、俺は台所へお茶を淹れにいく。 珍しいことが重なったとはいえ、今はまだ平和な日常だ。 まだ慌てるような時間じゃない。 「相変わらず質素な家ね、ちゃんと暮らせてる? 」 「住めば都だ、余計なものは必要ない」 「ふ~ん」 お茶を淹れて戻ってみると、霊夢が持ってきたお菓子を広げていた。 俺の家への感想も言っている。 ボロ家で何が悪い。 「おっ、美味そうなおはぎだな」 「私の手作りよ、ありがたく頂戴しなさい」 「そりゃありがたいな」 霊夢が持ってきたお菓子は『おはぎ』だった。しかも手作り。 甘そうな餡子が食欲をそそる。 「それじゃ、いただきます!」 「召し上がれ」 早速お茶と共にいただかせてもらう。 やはり和菓子にはお茶が一番。 「美味いな」 「そう? 気に入ってくれてよかった」 俺がおはぎの感想を述べると、霊夢が笑顔を浮かべる。 その笑顔にドキッとしてしまったのは内緒。 「しかし、どういう風の吹きまわしだ? 」 「えっ? 」 「いや、霊夢が手土産持って俺のところに来るなんて珍しいからさ」 「あら、私の好意が迷惑だった? 」 「迷惑ではないけど、なんか調子狂うな… 」 俺の知っている霊夢はいつも我が道を行く人間だった。 それも邪魔する者は全て蹴散らしていくぐらい、周りを寄せ付けない強さを持った。 その霊夢が突然こういった形で好意を向けてくることに違和感を感じざるを得なかった。 「まぁ強いて言うなら、たまには素直になってみようかなって… 」 「どういうことだ? 」 「分からないならいいわ」 「なんだそりゃ」 そんなやり取りがあった後、霊夢が帰る時となった。 「今日はありがとな、美味しいお菓子貰っちゃって」 「いいのよ別に、残りもちゃんと食べてね」 「あぁ、それじゃまたな」 「○○! 」 玄関先で別れ家に戻ろうとしたその時、突然霊夢が俺を呼びとめた。 「どうした霊夢? 」 「ハッピーバレンタイン! 」 そう言い残し、霊夢は飛び去っていった。 俺はしばらく呆気にとられた後、ようやく意味を理解した。 「あいつ、なんで急にお菓子なんて持って来たかと思えば… 」 スキマ妖怪あたりの入れ知恵だろうか。 こちらの世界にバレンタインはないと思って油断していた。 とにかく今は家の中に戻って、残った霊夢の好意を味わうとしよう。
https://w.atwiki.jp/neyasureimu/pages/15.html
博麗霊夢さん 通常打撃 通常射撃 スキル スペル コンボ ここまで遊び ここからは本音 立ち回り
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/476.html
霊夢6 5スレ目 58 さて、僕がこの幻想郷に来てどのくらいやら。 運が無いのかどうなのやら、妙な妖怪に襲われて、そこを霊夢に救われて。 その後はいろんな人と宴会やって、散々言い訳並べて片づけを9 1の割合でこなしたり、もちろん9割は僕だ。 「ふー、しかしここに来て1年なのに向こうで10年を過ごしたような気分だよ」 夏の夜空を眺めつつ、神社の縁側でお茶をすする、もちろん、一番茶などという気の効いたものは無いので出がらしだ。 「それだけ人生が充実してていいんじゃないのー?」 「まぁそうなんだけどね、濃厚な人生ってことなのかな」 いつの間にか僕の横にいた霊夢がいつものようにお茶をすする、これだけ見ると茶のみ仲間みたいだ。 しばらくの静寂、夜の縁側に響くのは茶をすする音。 「偶には静かな夜もいいわね」 「うん、最近萃香のテンション高かったせいか連日宴会だったからね、こうやって2人で話す暇なんて無かったよ」 「ねぇ、○○」 「どうしたんだ?霊夢」 すると霊夢は僕の体に寄り添い、呟いた。 「しばらく・・・・、こうしててもいいかしら?」 「うん、気の済むまでご自由にどうぞ」 「ありがとう、じゃあお言葉に甘えさせてもらうわ」 「死ぬまで、いや、死んでもこうして隣にいてくれるかな?」 「私も既にそのつもりよ、これからも末永くよろしくね、○○」 前スレまでROMってたけどふと触発されて描きたくなった、満足はしているが後悔はしていません。 自分の脳内の8割を占めてた妄想を拙著な文章力で書いてみたらなにやらぐだぐだというかなんというかorz ──────────────────────────────────────────────── 5スレ目 114 やったよ霊夢、ついに紅をノーマルでノーコンティニュークリアできたよ! 「おめでとう。(でも貴方が下手糞だったおかげで私は何度も何度もボロクソだわ、魔理沙も使いなさいよ)」 だから約束どおり紅魔湖にスワンボート浮かべて二人っきりで一緒にk 「あら?あなた紅をクリアする前から妖々夢なんか買っちゃったじゃない。 あっちは放りだすつもりなの?」 くっ・・・わかったよ、今は霊夢の腋でがまんするよ! 「ちょ、いや!変なとこ触らないで!(飲みかけの暑いお茶を○○にぶっかけます)」 うわっちゃ、熱い!熱い!溶けっ!! さて、妹様に会うためまたがんばります ──────────────────────────────────────────────── 5スレ目 172 ツンデ霊夢が縁側にて この暑さのため、霊夢は普段の髪型ではなく、後頭部付近の全ての髪を ポニーテールにまとめていた。 したがって、腋はおろか、その白いうなじまでが綺麗に露出していて ○○は劣情を催してしかたがない。最近流行りのアレを試すことにした。 「なぁ霊夢」 「茶菓子ならもう無いわ」 即答、茶菓子をきらせた霊夢はご機嫌斜めの様子だ。 先手をとられたかたちの○○は、それでも意を決して巫女に胸中を伝える。 「そうじゃなくて、さ」 「何よ」 「押し倒してもいいか?」 「・・・なんですって?」 霊夢の目つきが変わり、その冷たい視線が○○を貫徹する。 ○○、やはり霊夢相手にこの台詞はまずかったのではないかと後悔する。 彼女の袖からは針が数本、顔を出しているではないか。 「・・・いや、ごめん。なんでもないんだ、許してくれ」 「・・・ふん」 針を引っ込めた霊夢は、蔑みの表情を浮かべ、言った。 「何よ。そんなことを一々聞いて、女の子一人押し倒す勇気もないの?」 「れ、霊夢」 「それとも、○○は、女が、怖い?」 茶化すような台詞に俺はついかっとなって (省略されました。続きを表示するには指先ひとつでダウンさ!) ──────────────────────────────────────────────── 5スレ目 216 「あー、暑いわ暑いわ暑くて溶けそう」 「暑いな」 霊夢がだらしなくだれている。 「沢に水浴びにでも行くか」 「それはめんどくさい」 「そりゃそーだが、このまま寝ることもできんだろ」 この暑さじゃなぁ……。 「あー、そうだ。いいこと思いついたわ。ちょっと出かけてくる」 「え?」 縁側の床の冷たさを身に取り入れようとしているだらしない姿 勢のままで霊夢がふわふわと宙を飛んでいった。 「あっちは……紅魔郷だよな」 そういえば、時を操るメイドなんて非常識なのがいたっけ。 彼女の力なら、空気中の分子の動きを緩やかにして気温を下げる なんていう芸当ができるのかもしれない。 それをあてにして行ったというのなら――おとなしく待とう。 いい加減、俺もこの暑さには参っていた。 そして、正午頃、霊夢が喜色満面の笑みで帰ってきた。小脇に ズタボロの氷精を抱えて。 「……チルノじゃないか」 ああ、彼女なら好きなように氷を作れるし、彼女自体体が冷たい。 「あー、ひんやりして気持ちいいわ」 「……災難だな、チルノ」 「はーなーせー!!」 「離すもんですか。アーヒャッヒャッヒャ! ○○さんもくっつきなさいよ。冷 たくて気持ちいーわよ」 ほい、と霊夢からチルノを渡される。 思わず抱きとめて、その冷たさに感動する。 「あわわわ……!」 チルノの狼狽した声が聞こえる。それもそうだな。いくら見た 目がガキンチョだとわいっても女の子だ。異性に密着されれば、 平静ではいられないだろう。 ……そういうことに気づいてはいたが、かといってチルノを解放 するほど正気を保っていられるわけでもなかった。 なにせ── あ つ い その一言に尽きる。 暴れるチルノを、俺は頬ずりしかねんばかりに抱擁する。 が、それが不意に収まった。 怪訝に思って、チルノの顔を見ると、紅潮していた。 「な、なに? あたいは忙しいんだからね! 涼みたいんなら、 早く済ませてよね!」 そう言って、今度はチルノの方から、くっついてきた。 Oh, It's coooooooool!!!! さあ、幻想郷の端っこで抱き合おう! とばかりにチルノ を抱きしめようとしたら──霊夢にチルノをひったくられた。 「○○さん、もう十分でしょ?」 「エエ、モチロン」 霊夢が怖い。そう答えるしかなかった。 しばらく、霊夢がチルノを堪能しているのを眺めているばかり で、ムラムラ──もとい、イライラしてきた。もちろん、暑さ で、だ。勿論、やーらしいことも少しは考えているけどさ。 「○○さん、○○さん。こっちきて」 霊夢に呼ばれて、ようやく俺にもチルノに触らせてくれるのか、 と喜び勇んで寄っていくと──いきなり、霊夢に抱きつかれた。 「あ……え……?」 「ほ、ほら、どう? わたしだって冷たくて気持ちいいでしょ?」 確かに霊夢の体は冷たくなっていて、気持ちよかった。 「ああ、気持ちいい──けど、霊夢が体冷やしすぎになっちゃう じゃないか」 「ん? 別にいいじゃない。○○さんも涼しくなれるし」 「女の子が体を冷やしちゃ──」 「ああ、もう。うるさいわね。だったら○○さんが暖めてよ」 いや、そうは言ってもね。チルノに逃げられたらどうすんのよ。 そう思って、チルノを見ると、氷のような透明な羽を広げたまま 大人しくしていた。 どことなく、羨ましそうにしているように見えて、俺は── 「チルノもおいでー」 と誘った。 チルノが突進してくる。 ……ちょっと待て。その勢いはさすがにまずい。 と言おうとしたが、間に合うはずもない。 「ぬぐっ!?」 霊夢が肺を押し潰されて、ひしゃげた息を吐いた。 一通り、咳き込んだ後、霊夢は霊気を立ち上らせて一言言った。 「くぉら、チルノ……」 「あ、あたい、今日は大蝦蟇と果たし合いの約束してたんだった。 そうだった。じゃあね!」 そう言って、チルノは天狗もかくやと思われるほどの勢いで飛ん でった。 「……霊夢が脅かすから、逃げられたじゃないか」 「いいじゃない。まだ、わたしだって冷たいでしょ?」 「まあね」 霊夢と一緒に縁側に座り、身を寄せ合うことにしよう。霊夢の心 地よい冷たさが、熱気にむしばまれるまでは。 22時間どころか36時間orz ──────────────────────────────────────────────── 5スレ目 231(うpろだ 52) ※冷房を20℃に設定して、三十分お待ちください ――少女冷却中―― 「……ただいまー」 長すぎる冬のある日。昼前に霊夢が飛び出していって、半日経って博麗神社に帰ってきた。 「ど、どうした、霊夢? ずいぶんボロボロじゃないか」 「うるさいわね」 「げ、それ血じゃないか。薬箱どこだっけ?」 「かまどの脇に置いてあったような――なかったような」 「とってくる」 「ん、お願い」 「癪だわ。というか癪だわ」 土間から薬箱を持って戻ってくると、何やら霊夢がぶつぶつ呟いている。 「薬あったぞー、そら脱げ、やれ脱げ」 「はーい……」 霊夢は服を脱いで、背中をこちらに向けた。 切り傷やら擦り傷に軟膏を塗ってやる。 ちなみにサラシは巻いたままである。 残念じゃないさ。ああそうさ!(゚⊿゚) 悲しくなんて――ない!(゚Д゚) 「いたた」 「我慢してくれぃ。にしても、珍しくこっぴどくやられたな」 「あの@のせいで力が抜けたわ」 「アットマーク?」 「こっちのことよ。もう全部塗ってくれた?」 「ん、手際悪くてすまんな。まだだ。でも、もうちょい」 「早く済ませてね……っくしゅん!」 「んー、寒いなぁ……ほい、終わり。風邪ひくなよー」 「ありがと」 霊夢が服を着る。 包帯が必要なほどの深い傷がなかったのは何よりだが、 傷ついて帰って来るというのは心配だった。 どこに行っていたのか、聞いてみたがはぐらかされる。 気にするな、ということだろうか。 「お風呂、入りたい」 霊夢が唐突に言った。 「あいよ」 風呂を沸かしに行った。 霊夢が風呂に入ったので、薬を塗り直した。 二度手間なのに、なぜかほのぼの。 湯冷めしたのか、霊夢がもう一度くしゃみした。 暖めてやろうと思って抱きすくめると、抵抗された。 離れると、恨めしい顔をされた。どないせーと?(;´Д`) 囲炉裏を挟んで、雑談する。 が、どうにも辛気くさい話題しかない。 里では来年の作物の実りが心配だという声が多い。 病人も増えるばかりで、なかなか減らない治らない。 「茶葉が心配だわ」 「そうだな」 お約束な霊夢の言葉に、少し苦笑して頷いた。 パチパチ……パチ…… お互いに黙ると、時折炭が爆ぜる音がことのほか大きく響く。 炭も残り少ない。まあいいか。この天候だ。 木もどんどん枯れていっているから、薪は山に入ればいくらでもある。 とはいっても、はげ山になってしまえば、来年以降どうしようもなくなる。 ……あー、先行き不安だ。 でも、まあ――なんとかなるさ。 「もう寝るわ」 「おやすみ」 「おやすみなさい」 霊夢が寝てしまい、一人で囲炉裏の火を見つめる。 「……なんとかなる、とは言っても、なんとかするのは霊夢なんだよな」 うーむ、歯がゆい。 ま、いいや。寝よ寝よ。 翌朝。 起きると、咳が出た。 縁側に出てみると、積雪が高さを増していた。おまけに風まで強い。 「あっちゃー、風邪ひいたかな」 昨夜、自分が注意しておいて自分が風邪ひいちゃ世話ない。 「飯炊くついでに暖とろっと……」 土間に行く途中、霊夢とでくわした。 「おはよう」 「おはよう……顔、赤いわね」 「微熱はあるかも。でも頭痛もしないし、大事ないだろ」 「そう? だといいけど。ああ、雪おろしはわたしがしておくわ。落ちると危ないし」 「そりゃ助かる。じゃ、飯作ってくる」 「ん、お願いね」 かまどに薪を放り込んで着火。 火付けの松葉はたっぷりあったが、それすら心許なくなってきている。 春が来ない 春が来ない 何処行った? 年季の入った竹筒で風を吹き込みつつ、炎が燃え上がるのを待つ。 しかし、なかなか火の勢いが強くならない。おまけに煙も多い。 「あーあ、連日の雪で湿気たか……」 さらに息を強く吹き込もうとして――うかつにも煙を吸い込んだ。 「けほっ、うげほけほっ……ごほごほ」orz うずくまって咳き込む。 「ちょ、ちょっと! 大丈夫!?」 激しく咳き込む音を聞きつけて、霊夢が文字通り飛んできた。 「ん ケホケホ 大丈夫。ゴッホゴッホ 煙吸い込んだだけ」 「はぁ、もう……びっくりさせないでよ」 「ごめんごめん」 「…………」 霊夢がこっちに指先を伸ばし、かすらせるように頬を撫でた。 「霊夢?」 呼びかけてみても、反応らしい反応を見せずに、ずっと目を見つめてくる。 「……朝ご飯を一緒に作ろうと思ったけど、任せるわ」 「ああ、任された」 もとよりそのつもりだったし。 麦と粟を混ぜたご飯、大根たっぷりのみそ汁、それに漬け物三種類。 それが朝餉。 なぜか、霊夢は外出寸前の格好だった。 「急ぎでどっか行くみたいだけどさ、手袋ぐらい外したら?」 「あ、ああ、そうね」 「「いただきます」」 と二人で唱和するやいなや、霊夢が猛然と飯をかっ込み始めた。 霊夢は三分で食い終わり、勢いよく立ち上がる。 「ごちそうさま! ちょっと出かけてくるわ!」 「あ、待った」 「何? 急いでるんだけど」 「お茶。飲んでいったら?」 霊夢がガツ食いしてる間に準備しておいた。 「そうね、ありがと」 ずずずずずずずずず 一気に湯飲みから茶を吸い上げる霊夢。 よく火傷しないなあ、と感心する。 「いってきます!」 「あ、待った」 「今度は何!?」 「手袋」 「……ありがと」 「と、マフラー」 「…………ありがと」 「怪我しないようにな」 「……うん」 見つめ合うのが照れくさくて、二人して咳払い。 霊夢が玄関に向かうので、それに着いていく。 雪を踏むと裾が濡れるので、敷居から少しだけ出て霊夢を見送る。 「いってらっしゃい」 霊夢が宙で一旦止まった。 そして反転して、こちらに寄ってきた。 触れるだけの淡いキスをする。 「春を、取り戻してくるわ」 自信に満ちた穏やかな笑みを浮かべて、素敵な巫女はそう宣言した。 次第に小さくなっていく霊夢を見て、思う。 「雪おろしでもして待つとしようか」 願わくば、これが最後の雪おろしとなりますように、と。 ――そんな、白銀の春でした―― ===後書き=== 霊夢、妖々夢bad endの夜。 うーむ、甲斐甲斐しい○○だ。 最後の霊夢の笑顔は妖々夢のchoose girlの立ち絵を想像してください。 マフラーは脳内補完で。霊夢だけマフラーしてないんだもんなぁ。 あ、魔理沙はストール? 霊夢は○○が風邪を引かないうちに春を取り戻そうと急いだということで。 しかし、春の異変は正味洒落にならんと思うのですが。 ──────────────────────────────────────────────── 5スレ目 264 霊夢に「牛タンっておいしいよね」って言ったら、 「そうね、人間の舌も牛タンだったらいいのにね」って言われた。 「そしたら何も食べてなくても、常に牛タンの味がしておいしいのに」だって。 たしかに、人間の舌っていつも口の中にあるのに味がしないなー。 霊夢と話し合った結果、それはもしかすると ずっと同じ味の舌が口の中に入ってるから味覚が麻痺してるんじゃないか? ということになって、お互いの舌を舐め合って確かめてみることにした。 そしたらすごい!霊夢の舌おいしい!! まろやか! お互いに相手の舌を舐めながら「おいしいよー」「おいしいねー」 「デリシャスだよー」「デリシャスだねー」ってやってたら、気が付くともうこんな時間だった。 この実験で、お互いの舌を舐め合えばおかずは要らないことが判明したので、明日から 「一ヶ月間お互いの舌の味と白米だけで生活する貧乏カップル」っていう黄金伝説を達成しようと思う。 ──────────────────────────────────────────────── 5スレ目 863(うpろだ0058) 季節は廻る。 この世界でも、もともと僕がいた世界と同じように廻っていく。 -パチパチッ! パチッ!- 桜島の御岳のような白い煙を上げ、落ち葉の山が燃える。 黒く炭化してきた部分が見えれば、落ち葉を追加していくのみの単調な作業。 -パチッ!- 乾燥した木の実が火の中で弾ける。 火をつけた時の太陽の位置と、今の位置を比べてみる。 (そろそろかな…) と思うと同時に漂ってくるほのかに甘い香り。 「ドンピシャだ。おーい霊夢ー! 焼き芋焼けたぞー」 縁側で一人お茶を啜っている霊夢が答える。 「持ってきてー。そっちに行くのが面倒ー」 「だめです、こっちまで来なさい。んじゃないとあげないよ」 「ウソうそ嘘。今行くってば」 霊夢がやってくるのを確認し、落ち葉の山を崩していく。 目的のブツを見つけてご満悦な僕と霊夢。互いに顔を見てから、思わず笑みがこぼれる。 傍に置いておいた文文。新聞を手に取り、「ソレ」を包む。 「どうだ。出来立てのほやほやだぞ。味は保障する」 パクァと二つに折り、「ソレ」…焼き芋を霊夢に渡す。もちろん大きいほうを。 「熱いから気をつけなよ」 「あふっ! はふ…ん~おいひい」 満面の笑みで答える霊夢の顔を見て、僕のちょっぴりの苦労も吹き飛んだような気がした。 縁側で二人座り、焼き芋を食べる。 二人とも若干猫舌なのか、ふぅふぅ息をかけ冷ましながら食べる。 遠くで鳥が鳴いている。僕たちの会話は、無い。 けど、こうしているだけで幸せだった。 「貴方が来てもう1年経つのね」 以外にも、最初に口を開いたのは霊夢からだった。 いつもは僕の問いかけに答えるくらいだったのに。 「そうだな。いつの間にか季節が廻っていった、って感じだね」 「ぼーっとしてるとあっという間よ?」 「年がら年中ぼーっと縁側でお茶啜ってるどこかの巫女さんには言われたくない」 ケケケッと子供のような笑い方をして霊夢をからかう。 「ふふふっ…どうだか…」 コロコロと笑いながら、霊夢も焼き芋を口に運ぶ。 僕も自分の焼き芋に目を落とし、ほどよく冷めてきていた残りを口に放り込む。 もぎゅもぎゅと咀嚼して…ッッ!? 「むぐっ!! くぁwせdrftgyふじこlp」 まずい。非常にまずい。芋が喉に詰まった。 ドンドンと胸を叩く。だが足りない。手元にあった湯のみを手に取り一気飲みする。 「ゴクゴクゴクッ! ッッ…! …くはぁ~、助かった…」 「まったく、何やってるのよ! 大丈夫?」 霊夢が心配した様子で僕の顔を覗き込んでくる。 「大丈夫…もう大丈夫。いやしかし焦った。久しぶりに焼き芋なんて食べたからかな」 「心配かけてもぅ…」 そう言うと霊夢は炊事場に歩いていき、しばらく湯飲みを持って戻ってきた。 「はいお茶。入れてあげてきたから飲みなさい」 「あざーっす。ん…熱っ!」 熱い。入れたてだから当然なのだが。 「くぉぉ…熱い…」 「何やってるのよほんとに…」 心底霊夢が呆れている。 「しょうがないわね」 そう言うと霊夢が湯のみを取る。 「良くこの湯のみを見ててね」 霊夢が湯飲みに手をかざし、何かを唱える。そして一口。 良く見て、とジェスチャーで湯飲みを指差したので僕は覗き込もうとしたその時、 -ちゅ コクン- その時の僕の顔は滑稽だっただろう。目が点、まさに文字通りだったに違いない。 霊夢はそっぽを向いている。表情は見れない。 たっぷり10秒固まってから僕は口を開いた。 「霊夢」 「…なによ」 霊夢はまだそっぽを向いている。 「霊夢」 「だからなによ」 「お、おかわり、頂戴…?」 「ッッ!」 バッと振り向く霊夢の顔は真っ赤だった。 最初は目を見開いてびっくりしていたが、すぐに笑顔に変わる。 「…甘えん坊さんね」 「なんとでも言え」 霊夢はクスッと笑うと、お茶をもう一口含んだ。 (省略されました。今週撮り溜めした深夜アニメを見てくるので、続きを読むには中の人がデスノの内容に満足するまで待って下さい) ──────────────────────────────────────────────── 6スレ目 46(本文は夢の中で出会った東方キャラとの出来事を語るスレ 711) 夢スレより転載。いいねー 何か妙な夢を見た。 場所は何処かの和室。障子の隙間から縁側と庭が見えたから、神社だったのかも知れない。 俺の前には布団が敷かれ、そこに座ってる寝間着姿の霊夢。 (寝間着と言ってもパジャマの類では無く、時代劇で出てくる様なヤツ) 霊夢は右手を肩から吊っていた。どうやら怪我をしたらしい。 夢の中の俺は怪我で不自由な霊夢の世話をする為に、里から呼ばれた様だ。 たわいも無い会話(内容は忘却)を交わしたり、お茶を入れて二人で飲んだりする内 霊夢が「肩を揉んで欲しい」とか言い出した。 で、まあ、みんなの想像通りw肩を揉むついで?に後から霊夢に抱きついたんだが すごく細かった。肉付きもそれ程無く、そもそも肩幅が小さい。 後から抱きしめた俺の手が、前で交差してそのまま反対側の自分の肩に届く位小さかった。 まさに「少女」という感じだった。 それを感じた瞬間、俺はもうネチョい気分とかそんなモンはぶっ飛んでしまった。 『こんな細い身体で、人間を守る為に妖怪達と渡り合ってるんだ』 と思うと何だか無性に涙が出てきた。 抱きつかれた時はジタバタ抵抗してた霊夢も、俺の様子がおかしいのに気付いたらしい。 俺の方を見上げながら「どうしたの?」とか聞いてくるんだ。 俺は恥ずかしさから懸命に涙を堪えるんだが、止まらない。 霊夢がそれを見て「何で泣いてるのよ?」と怒気混じりの声で聞いてくる。 俺は仕方無しに感じたままを話した。 すると霊夢は俺の腕の中で振り向くと、怪我をしてない方の手を伸ばし俺の頭を撫でてきた。 「バカね、アンタが気にする事じゃないでしょう。……でも、ありがとう」 とか言ってな。俺は堪らず霊夢の髪に顔をうずめ、マジ泣きしちまった。 そんな感じでちょっとイイ雰囲気の所だったんだが、障子の向こうから魔理沙?の 声がきこえてきた所で目が覚めてしまった。 思わず「それ、何てエロゲ?」と自己ツッコミをしてしまった orz でも俺の頭を撫でてくれた時の霊夢は、すごく可愛かった。 夢の中とはいえ「俺はこの娘を守る盾になりたい」と本気で思ったよ……。 ──────────────────────────────────────────────── 6スレ目 171 霊夢とこんな会話を毎日してみたいと思いました。 面白くもなくありきたりで短い話です。 懲りもせずにまた書いたのかと思う方もいるかも知れませんが、どうか一度読んでみてください。 朝、俺は未だ眠り掛けの頭を覚醒させる為に顔を洗う。 そして居間に行く。 すると彼女が起きていたのかもう座っていた。 「おはよう、霊夢」 俺はいつものように朝の挨拶をした。 朝起きたら挨拶をするのは常識だ。親しい相手ならそれはなおさらだ。 「あら、おはよう○○。今日は少し早いのね」 彼女も挨拶を返してくれる。 いつも返してくれるのだが、何時聞いても嬉しくなってくる。 だから俺は、彼女に微笑みもう一度挨拶をした。 ──────────────────────────────────────────────── 6スレ目 190 朝食を食べる。霊夢が作ってくれた料理を食べている。 「○○、今日の料理はどう?」 彼女の作る料理は、外の世界で俺がいつも食べていた物とは違い絶品だ。 だから俺は、いつものように正直な気持ちを伝える。 「うん。すごく美味しいよ」 俺は穏やかにそう答えたのだった。 彼女の作る料理は本当に美味しい。 言っておくが、別に外の世界の料理が不味いというわけではない。 だが、最近では冷凍食品などが多いからか余計に美味しく感じる。 まあ、その、なんだ…… 彼女が俺の為に作ってくれたと言うこともある。 俺の事なんか意識もしてないだろうが…… それでも嬉しいものは嬉しい。これで霊夢も俺のこと意識してくれたらなと思う。 まあそんな事、天地がひっくり返ってもないと思うが…… なら、少しでもこの時間が長く続くことを願う。 俺はそんな事を考えながら箸を進めるのだった。 それは幻想郷の巫女と共に暮らす一人の男の願い。 ありふれた日常が続いてほしいと思う純粋な願いだった…… ──────────────────────────────────────────────── 6スレ目 198(うpろだ0077) 香霖堂。 幻想郷にあり、唯一外の世界の物が扱っている店だ。 まあ、扱っている物は外の世界の物でもいろいろある。 日用品だったり、何かの一部だったり、かなりの貴重品だったりもする。 希に兵器っぽい物もあるが…… まあ気のせいだろう。 俺はやることもないので、香霖堂の前に来ていた。 よく来るので断言できる。 暇なときはこの店に来るに限る。 店に入る。店の中は少し古ぼけていて、店らしくはない。 でも、俺はこの店のことを気に入っている。 そして俺はこの店の主を呼んだ。 「こんにちは~。霖之助さんいますか~」 少し時間が経つ。そして返事が返ってくる。 「やあ、○○。今日は何の用だい?」 そのあとに、俺より年上の男性が店の奥から出てきた。 俺は霖之助さんと話をする。 「あの時は必死でした。死にたくなかったから……」 俺が幻想郷に来た時の話だ。 この話をしたのは、助けてくれた霊夢以外は霖之助さんが初めてだ。 「君も大変だったんだね」 すると、霖之助さんはそう言って労ってくれた。 俺が幻想郷に迷い込んでから出来た知り合いは何人かいる。 その中でも、霖之助さんは一番話しやすいと思う。 意外かも知れないが事実だ。やはり俺が男だからだと思う。 女の子が相手では、話すとどうしても気を使う。 その点霖之助さんは男なので話しやすい。 どういう訳か幻想郷には、男の人が少ない。 人里から離れたところに住んでいるからだとは思うが、それでも少なく感じる。 交流が霊夢の知り合いだけ、と言うこともあるが。 真剣な話は終わり、今度は霖之助さんが俺に聞いてくる。 「○○、霊夢とは上手く行っているかい? 」 それはかなりの不意打ちだった。 「なっ!!」 予想もしていなかった言葉に俺は驚く。 当たり前だ。この気持ちは霖之助さんにも教えていないのだから。 俺が他の人にも知られているかも、と不安になったときに霖之助さんは言った。 「驚いているようだね。大丈夫、僕以外は誰も気付いてないみたいだから」 霖之助さんの言葉にとりあえずは安堵する。 すると、当然の疑問が湧いてくる。 その疑問を聞いてみることにした。 「何時、気付いたんですか?」 すると霖之助さんは笑みを浮かべて 「何時も何も、君の話の大半は霊夢の事じゃないか。すぐに気づいたよ」 と答えた。 そして「同じ男だからね、解るものだよ」とも言った。 失敗した。そう思った時に霖之助さんは言った。 「今なら、僕の知っている霊夢の事を教えてあげるよ」 霊夢との仲は特に進展がない。 「お願いします」 俺は諦めて霖之助さんに相談することにした。 少年相談中 「最後に言うよ。彼女の周りには人が多い、けど彼女は一定の距離を取ろうとする。だから君から仕掛けるんだ」 霊夢は意外と直球な言葉に弱い。だから俺の方からアプローチ掛けると効果が高い。 結論を言えばこう言うことが解った。 辺り見回す。後1、2時間ほどで太陽が沈みそうだ。 あまり遅くなると妖怪に達に襲われ THE・END だろう。 だからさっさと帰ることにした。 「それではまた今度」 俺は帰るので挨拶をした 「ああ、また今度。霊夢との事頑張ってね」 霖之助さんも挨拶をしてくれる。 最後に何か言っているが無視だ無視! ……顔が赤くなんてなって無いからな! 帰り道を歩きながら、ふと思う。 俺は、様々な人に助けられている。 本当に俺は、良い人達に出会えたな…… 本来ならば今頃俺は、野垂れ死んでいたか妖怪の腹の中にいる。 その筈なのだが、偶然出会った彼女に助けて貰った。 他の人にも助けて貰ったのだが、彼女には……霊夢には一番助けて貰った。 そこから始まっていたのだと思う。 俺の恋は…… 「でも、俺の想いは実らない……」 相談に乗ってくれた霖之助さには悪いが、そんな気がする。 結局俺は臆病なのだ。 霊夢への思いは本物だと言える。 だからこそ、思いを告げられない。 言えばいまの関係が壊れるから。 そして、一緒にいられなくなる…… そんな事は嫌だから…… 失う事が怖くて、踏み出す勇気を持てない。 肝心の所で何も言いえない。自分の想いを口に出せない…… そんな奴だから…… だから言えない。 もう少しだけ勇気がほしい。 俺は一人そう思うのだった…… 後書き ここまでお読みいただき、ありがとうございます。 最初に言いますが、俺の中では香霖は良い人です。 変態ではありません。 それはともかく、今回は○○の葛藤がメインの話になります。 本当は告白までしようかと思ったのですが、俺なら一度はこう思う筈なので変更しました。 読んでいる方の中には、少しは共感できる人も居るかと思います。 ヘタレと思う方は、心の中で思う存分罵ってください。 では、今回はこれで。 ──────────────────────────────────────────────── 6スレ目 256 「この神社でお前と一緒に幻想郷を見守っていきたい。ダメかな? ……ありがとう。ああ、神職の勉強もするから、仲良くやっていこうな、霊夢。 ん? いや、ちょっと寒かっただけだ。 まるで幻想郷の全てを敵に回したみたいな、凄い悪寒が背中を」 ──────────────────────────────────────────────── 6スレ目 302 「あ、霊夢さん!!お帰りなさい今手当てを…あ、あれ?」 「あー大丈夫大丈夫。傷1つ無いから」 「え、で、でも…紫さん達は酷い怪我って聞きましたし」 「あーなんかねー。敵の弾が当たりそうになると何故か低速移動してるのよねーな・ぜ・か。ね?」 「れ…霊夢さん!!」 「何?」 「最高です…カッコ良いです…。俺、惚れ直しました」 「嬉しい事言ってくれるじゃないの」 ────────────────────────────────────────────────
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/1309.html
霊夢38 Megalith 2012/06/19 消費税増税の話で持ち切りの世論では、他の欠乏に目が行くとは○○には思えなかった。 彼はくだらない情報番組を映すTVを消して、ベッドの上にごろんと寝ころんだ。天井のドーム型の蛍光灯は未点灯で、日当たりが悪いためか、部屋は結構に暗い。 網戸からは、子供たちの嬉々とした喚声が部屋の中まで響いた。おそらく、すぐ近くの寺で遊んでいるのだろう。○○は、やんちゃをしていた幼少の砌を思いだし、エアコンをつけないで過ごすのも、中々具合が良いものだと思った。 程なくすると、○○は蝉の声に気が付いた。そこにあることがあまり当然過ぎて、まったく気に入っていなかったのだ。それはあまりに蝉に申し訳ない。少しばかりの人生を削って、鳴いているのである。それに耳を傾けないのは、どうにも趣がない。 そう思い、さて、何をする訳でもなく耳を傾けていると、○○は微睡に落ちた。ベッドの上で眠ってしまったのだ。 そして、目を覚ましたのはポストに何かが落とされた時であった。 彼は重たい体を起き上がらせ、扉の内側にある郵便受けから、落とされたのであろう一枚の手紙を手に取った。ついでに、寝汗でしっとりとした肌がどうにも気持ちわるかったので、彼は小さなタンスから、一枚のタオルを取り出した。 「あつっ……」 汗が伝う首元や蒸れた脇を拭き、濡れたタオルをベッドに投げる。そして、彼は無意識に、背の低いテーブルからエアコンのリモコンを取って、冷房をきかせた。エアコンは音を上げて、動きだし、冷風を吐き出し始めた。 彼は紺色のクッションに腰を下ろして、先ほど取ってきた突然の手紙をテーブルの上にひとまず置く。 それは真っ白な封筒である。中には一枚の紙が入っているようだ。 彼は「ストーカーか?」と疑りながら封筒を開き、紙を取り出す。 三つ折りだ。黒い文字がびっしりと並んでいることが裏からでも分かった。 「…………、」 開く。 そこには綺麗な字で何行にも渡って、文字が並んでいた。 ○○は恐怖心を覚えたが、心してそれを読むことを決めた。 ○○さんへ。 お久しぶりです、○○さん。 あの日みたいに元気にしてますか? もし元気があったのなら、私は嬉しい限りです。 いや、そもそも○○の元気がない姿なんて私には想像できませんから、私はずっと嬉しいのかもしれませんね。 それはそうと、そちらでの生活は上手くいってますか? 私の方は大変ですよ。男手が減ると結構いろんなことがきついです。 まき割とか、お風呂掃除とか、洗濯物とか。とにかくいろんなことがいっぱいになりました。昔に戻ってしまいましたね。 そういえば、○○さんって料理も掃除もなんでもできましたよね。 実は私、嫉妬してたんですよ、○○さんのこと。ずっと一人でやってきた私を軽くあしらうなんて少し許せなかったんです。でも、謝りません。 だって、○○さんが何でもできるのが悪いんであって、私は悪くないんですから。 彼は胸が酷く詰まり、読むことを止めた。 色あせつつあるあの日が浮かび上がるが、それを彼は頭を振って、消した。 夢路に乗るために、自分はあの場所から旅立った、戻ったのだ。どんな結果であろうが殊勝に受け止めなければならないはずである。そうしないと、良心の呵責が彼自身を許さない。 ○○は大きく息を吐いて、読むことを再開する。 そうだ。魔理沙と□□が結婚することになったんですよ。 たった付き合ってから1ヶ月で結婚ですよ? あの奥手な魔理沙が結婚なんて夢にも思いませんでした。 でも、もう私たちは二十歳だし、結婚してもおかしくない歳だから、本当はそんなに驚く必要はないんですけどね。 あと、紫が外来人に負けました。妖怪の賢者って呼ばれてるくせにこてんぱんにされて、泣きべそかいてましたよ。○○さんに見せてあげたかったです。 新聞でも一面を飾っていたので、一緒に渡してあげたかったんですけど、紫が全部回収してしまったので、渡せませんでした。でも、その外来人と紫は今は仲良くやってますよ。 相手は友人としてだと思いますけど。 それと、アリスが子供を産みました。 その前にアリスは△△と結婚して、夫婦になったことを知りませんよね。○○さんがそちらに戻ったのが、三年前ですから、その後すぐに結婚したですよ。魔理沙がわんわん泣いて、すごかったんですよ。 私も泣きそうになりましたけど。 それで、アリスの子供はアリスにそっくりですごく可愛いですよ。最近、私の名前を憶えて、呼んでくれます。お菓子とか買ってあげたくなりますよ。まぁ、お金はありませんけどね。 子供たちの声が消えて、蝉時雨が彼の部屋に降る。 夏の熱気がやけに冷めているように○○には思えた。 それで私の近状です。 私はお見合いをすることになりました。 相手は良家の息子です。性格も見た目も申し分ありませんが、私はあまり嬉しくありません。お見合いを提案した紫が言うには、短命だから早く子供を作って欲しいということです。 私には人権はないのかと訴えたんですが、聞き耳を持ちません。 困った賢者です。やっぱり恋する乙女は盲目なんですね。 とにかくお見合いをすることが決まったんです。 そういえば、こうやって恋愛関係のお話をすることは、◎◎さんの一件以来ですね。 あの時は、結局フラれてしまいましたけど、あの時、○○さんは私のことを抱きしめてくれましたよね。 あの時、すごく嬉しかったんですよ。 味方が居てくれるって思って、とっても嬉しかったんです。 だから、感謝したくてこの手紙を書きました。 手紙は不自然にそこで終わっていた。 いや、終わった訳ではない。残り数行に文字の書いた跡が残っているのだ。 ならば、その数行に書いてあった文字を差出人は消したということである。 ○○は封筒の裏を見る。 そこには何も書いておらず、真っ白であった。 ――――卒爾に彼は立ち上がり、エアコンも窓もそのままにして、部屋を飛び出す。 扉を開くと、彼の視界に嘘みたいな青空が広がった。 「アイツ……」 彼は外付けの階段を駆け下り、アパート前のきつい上り坂になっている道へ出る。見回すが人はいない。 さらに彼は、体力が続く限り、街並みの影が垂れる道々を必死に駆け、そして、彼は長い上り坂の頂上でその足を止めることになった。体力が尽きたのであった。 「…はぁ、はぁ、はぁ」 大きく波打つ胸。無限にしたたるかと思える汗。荒い呼吸。酸素が脳まで回っていないのか、感覚がぼんやりとして、妙に頭が重かった。 彼は息を落ち着かせて、汗でしとどになった額を手の甲で拭き、頭をもたげた。 ……そこには見覚えのある夏の青空があった。 まるで海のような青で、まるで海のように広い。 そして、そこに浮かぶうず高い入道雲は、彼女が夢見た大きな旅客船のようであった。 おそらく、あの船は大きな汽笛と水飛沫をあげながら、こちらに向かってくるだろう。 その時に自分は何ができるのだろうか? 「…………」 彼女のすむ場所には海はない。 彼女は海を知らない。 だが、この空にある海はどこまでも繋がっているのだ。 ……大空の潮風はゆるやかに吹き渡り、木立はそよいだ。 ――――○○さん 突然、彼女の声が聞こえた気がして、彼は振り返った。 味方が居てくれるって思って、とっても嬉しかったんです。 だから、感謝したくてこの手紙を書きました。 だけど、私はダメです。 感謝したら終わってしまう気がしまうんです。 だから、ここに誓います。 博麗霊夢はずっと○○さんが好きです。 この後はあえて書きません。 皆さんが各々想像してみてください。 うpろだ0043 今日は晴れではなかった。 かといって、雨が降っている訳でもない。 分厚い雲に覆われた今日の空模様は、曇りだった。 春が過ぎて初夏に差し掛かろうというこの頃、それは同時に梅雨の季節でもある。 唐突に雨が降ることも珍しくはないし、明日は雨どころか数分後には雨ということもありうる話だ。 だから、この時期はあまり外に出る機会が少ない。 ただ気温が上がるだけならばまだマシだが、さらに湿度が上がることで蒸し暑さというものが生まれる。 いつもの渇いた暑さとは違う、体に纏わりつくかのようなあの暑さは、いつになっても慣れない。 それもあって、更に外に出ることを面倒くさがって出ることがなくなっていく。 自然と、家で一日を過ごすことはそうも珍しくもないのだ。 「暇ね」 「そうだね」 それと全く同じこと、同じ行動をとるのは俺に限った話ではない。 世界に俺一人しかいないのならば話は別だが、そうではないのだ。 同じ場所に住み、暮らしていればお互いに同じになることだってある。 テーブルの向かい側でだらけている巫女も、外に出ようとは思わない。 ………この時期に限らず、という後付けは俺の心の中に留めておこう。 「…………暇ね」 「…………そうだね」 同じ言葉を繰り返す霊夢に、俺も同じ言葉を返す。 だからどうしたというのか、他人の思考を読み取る能力もない俺に何を期待しているのか。 単に返してほしかっただけなのか、それは分からない。 少し色褪せた紙の上に書かれた活字の世界が、今の俺が見えるものだ。 寝転がって本を読んでいる今、霊夢がどんな顔をしているのかはよく見えない。 額面通りの言葉を受け取ったところで、何を考えているのかを知るにはあまりに足りなすぎた。 何もかもが真横になった世界で霊夢を見ようと遮る本を避けると、何かを漁る姿が見える。 ………一体何をしているのだろうかと思いつつ見ていれば、綿毛のついた一つの棒を取り出してこちらに歩み寄ってきた。 「ん」 俺の目の前で正座した次の行動は、自らの膝を叩いてのアピールだった。 数回同じことをした後に霊夢の顔を見れば、こちらをじっと見つめてきている。 霊夢が何を言いたいのか、何をしたいのかは、わざわざ悩んでまで考えることでもなかった。 「…………っと」 じゃあそれに従いますか、ということで立ちあがって霊夢のもとへと向かう。 数歩で届いたその場所にたどり着いて、もう一度寝転がる。 頭を霊夢の太ももへと乗せて、滑らない位置に固定する。 先ほどまで開いていた本は、とうの昔に閉じていた。 「あんたも飽きないわね、そんなに面白いの?」 「少なくとも何もしないよりは、遥かに面白いよ」 「………ふぅん」 返ってきた言葉はそれだけで、霊夢はそれ以上会話を繋げようとしなかった。 これから話しながら作業するわけにもいかないということなのか、あるいは単純に興味がないだけか。 そんなことを気にしてもいいのだが、今だけしか味わえないこの枕を堪能した方が有益だった。 そして、俺が霊夢の膝枕に夢中になっていると、霊夢は俺の耳を触り始めた。 "今からするわよ"というその開始の合図に、俺は少し身構える。 「力入れないで、やりにくいのよ」 「ごめん、どうも他人にやられるのは慣れてなくてね」 この年になって、そんなことを他人任せにやるなんてのは限られた条件をクリアしなくてはならない。 今までは自分でやる多数派だった、しかし最近になってやってもらう少数派に回った。 急激な変化についていけないでいる、というのが実情であり戸惑っている。 "中々慣れないな"と言葉を漏らした時に、"ずっと続けば、いつか慣れるんじゃない?"と霊夢はそう返してきた。 そうならば、いずれ当たり前のようになる日が来るんだろうとは思う。 が、しかしそれがいつになるのかは、全くもって想像もつかないけれど。 「じゃあ始めるわよ、手元が狂っても怒らないでね」 「霊夢なら大丈夫でしょ」 耳の穴の中に、ゆっくりと棒が侵入していく。 普段から何か入れているわけでもないので、内心あまり気分は良くない。 こんな状態でリラックスしろと言われても、逆に緊張するというのが本音ではある。 ただ、何度も繰り返したのが功を奏したのか、霊夢は注文してくることはなかった。 これも慣れがそうさせたのかな、と一人そんなことを思う。 何度も棒の出し入れを繰り返されるうちに、徐々に耳の通りが良くなってきている気がする。 自分では見ることが出来ないので、一体どれだけ積もりに積もった垢があるのかは知らない。 普段あまり手入れをすることもないから、見たらかなり酷いことになっているのだろう。 …………霊夢が一番最初に俺の耳の中を見た第一声は、"こんなので本当に聞こえてるの?"だった。 あれから綺麗にする機会は以前よりも増えているが、それでも霊夢曰く"まだまだ"だとか。 一体、俺の耳の穴はどうなっているのか。 一度見てみたいが、やっぱり見たくないような、そんな曖昧な気分だ。 「………相変わらず凄いわねぇ、どうしたらこうなるのかしら?」 「体質によって変わるみたいだよ、俺は多い方だったってこと」 「実に掃除の甲斐がある耳の穴ね」 「悪いね」 「いいのよ、私が好きでやってることだから」 肩を叩かれて、次は片方の耳だと無言でそう返ってきた。 寝返りを打てばいいだけだが、霊夢がやりにくそうに渋い顔をするからやらない。 わざわざ立ちあがって、逆側に霊夢の太ももへと頭を寝かせた。 「今更なんだけどさ、重くないの?」 「重いわよ」 「………よくやる気になるね」 「言ったでしょ?好きでやってるのよ」 なんでもないことだと、さらりと言ってのける霊夢。 顔は見えないけど、多分いつも通りの顔しているんだろうなと容易に想像がついた。 実に霊夢らしいというか、そういうところは全く変わり映えしないなぁと思う。 でも決して嫌いじゃない、むしろ俺にとっては好ましいことだった。 時に歯に着せない物言いは傷つけることもあるけど、裏表のないストレートな言葉は分かりやすくて有難い。 喜怒哀楽がはっきりしているからこそ、嬉しい時は嬉しいと言ってくれるから。 変に穿った見方をしなくてもいいし、ねじ曲がった解釈も必要ない。 そんなことで神経をすり減らすこともない、本心を出してもいいと思ったから。 …………………だからだろうな、とそう納得する。 「最初は紫に言われてやってみたけど、今は良かったと思ってるわ」 「でも本当は、入れ知恵だって気が付いてたんじゃないの?」 「………いいじゃない、やってみたかったのよ」 「………………そうか、じゃあ仕方ないね」 入れ知恵だとしても、騙されていると分かっていてもやりたいという気持ちを抑えきれなかったようだ。 憧れとか、希望とか夢とか、そういうものを抱いていたのだろうか。 もしそうだとしたならば、断ることなく受け入れたことは正解だったということになる。 後になっての答え合わせにマルを貰えたことには、間違えなくて良かったと振り返る。 そして霊夢に助言した紫さん、ありがとうございました。 今はいない彼女に向かって、心の中でそう呟く。 「……………………」 眼が動くギリギリまで眼球を動かしてみれば、視界の隅で頬を赤くする霊夢がいた。 その反応を見て、本当にやりたかったんだなということを再確認する。 恥じらいもあったんだろうけど、更にそれを上回るくらいだったということ。 そう、それだけのこと。 「………終わったら、人里にでも行ってみる?」 「甘いものでも食べたり、何か買い物でもしたりしてさ」 霊夢に提案を持ちかける。 あんなにも外に出る気が全くしなかったのに、今はもうそんなことはない。 いや逆にどこかに行きたくなった、何かしたくなった。 せずにはいられなくなった、それは唐突に。 同じだ、膝枕をしたくなった霊夢と同じだ。 「………うん」 「もう終わるから、準備して行きましょう」 了解の合図を受け取って、これから向かう場所へと思いを馳せる。 何をしようかなとか、何があるかなとか。 霊夢は笑ってくれるかなって、そんな姿を想像した。 霊夢と居候01(うpろだ0060) 年の瀬。一年か終わる日になっていた。 博麗神社も、珍しく忙しそうにしている。 ただ、忙しくしているのは、今年はただ霊夢だけではなかった。 ざっと音がして、神社の裏手に空からの来客があった。境内に降りなかったのは、屋台の資材が用意してあって危なかったからだった。 「よう、霊夢。珍しいな、こんなに神社が忙しそうなのは」 「魔理沙は暇そうね。手伝ってく?」 「謹んで遠慮しておくぜ」 降りてきた少女――霧雨魔理沙はそう言って、縁側に座っている博麗霊夢の隣に腰掛けた。そして、霊夢が眺めていた方に視線を向ける。 青年が一人、掃除をしていた。里からの手伝いとか、そういうものではない。今現在、博麗神社に居候している外から来た者だった。 神職の付ける装束を着て仕事をしている姿は、それなりに様になっていた。青年も魔理沙が着ていたことには気が付いていたようで、ぺこり、と頭を下げる。 そして、また青年は掃除の続きを始めた。他にも、神社の境内には新年を迎える用意がしてある。 「馴染んでるな、あいつ」 「そうね、便利よ。いろいろやってくれるし」 「正月の用意くらい自分でやれよ」 「さっきまではやってたの。後はやるからって言われたからね」 霊夢はそう言って、手元の茶を飲んだ。そして魔理沙も気がつく。部屋の中にいれば寒くないのに、わざわざ境内の見えるところで霊夢は茶を飲んでいるのだ。 「魔理沙も飲む?」 「ん、もらう。あいつの分はいいのか」 「終わったら入れてくるわ。冷めるもの」 魔理沙は野暮なことを――本人はそう思ったことを突っ込みはしなかった。そっか、とだけ言って、ずずと茶を啜るだけにとどめた。 霊夢は特に何も言わず境内を眺めている。相変わらず何を考えているのかよくわからない。何かミスでもしたときに指摘するつもりなのかも知れない。 しばらくそうしていた後、霊夢が席を立った。魔理沙は問おうとして、青年が掃除用具をまとめて片付けようとしていることに気が付く。 新しい茶を入れにいったのだろう、と推測して、青年が来るのを待つ。 「こん、にちは」 やってきた青年は、そう魔理沙に礼をした。よう、とだけ魔理沙は返した。そのやりとりの間に、霊夢が帰ってくる。 「お、待たせ、した」 青年は訥々とした様子で、霊夢に向かってそう口にした。少し吃るところがあり、口数は多くない。 「お疲れさま。お茶飲む?」 「いただき、ます」 「ちょっと熱いけど」 「さ、むかった、から、大丈夫」 霊夢の手から湯飲みを受け取り、青年も縁側に座った。ふう、と湯飲みの中身に息を吹きかける。 その様子に、ぱちぱちと目を瞬かせているのは魔理沙だった。その様子を不思議に思って、青年は首を傾げる。 どうしたのか、と聞いているのだと察した魔理沙は、ああいや、と少しだけ言葉を濁した後に応じた。 「……お前、結構喋るんだな」 こく、と青年は頷いた。ず、と茶を一口啜って、口を開く。開いた後に、少し躊躇いがちに言葉が出てきた。 彼は別に躊躇っているわけではなく、一音目が出難いのだった。 生まれつきにそういったものがあり、詰まった後でもするっと次の言葉が出てくれれば詰まらないのだが、再度詰まると本当に言葉が出なくなる。 障害、とまではいかないが、そういう体質なのだ、とは一度聞いた。だから、魔理沙もそんなに喋らないものだと思っていたのだ。 「……話し、たくないわけじゃ、なくて。言葉出すの苦手で」 「ああ、うん、わかった。大体わかった。無理するな」 こくりと頷いて、青年は茶をまた啜り、のんびりとした表情でほうと息をついた。 喋らないからと言って怖いと言うこともなく、こうしているとどこにでもいるような人物にしか見えない。 極端に言葉を出したがらない以外は、感情表現も豊かであるし、笑いも悲しみもする。気配りもするしきちんと働きもする。つまりは普通の人間であった。 「別にコミュニケーションとれないわけじゃないもの」 「うん、普通にどうやって意志疎通してるのか不思議だったけど、納得した」 魔理沙は頷いて、ほとんど冷めてしまった湯飲みの中に追加の分を注いだ。 青年がここに来て、まだ三ヶ月ほどであった。雪に道がほとんど閉ざされるまでは、ちょっとした手伝いや森近霖之助のところにも行っていたらしい。 ただそれでも、幻想郷に慣れるにはまだ時間が短すぎる。しばらく神社に住んでいるから、だいぶわかってきてはいるが、ここは少しばかり里とは違う。 まあ、心配してもどうしようもないことだ。否応なしに慣れねばならないものである。魔理沙はそう思って茶を啜る。 それからしばらく他愛もない話をした後、魔理沙は湯飲みを盆の上に置いた。 「じゃ、また後で来るぜ」 「はいはい」 「また、後ほど」 ひらりと手を振って、魔理沙は箒に乗ると空に駆け上がっていった。それを見送るように、青年はしばらくその後を見上げていた。 「どうしたの?」 「あ、いえ」 霊夢の問いに、彼は少しばかり照れたような顔をした。 「いつ、見ても、空を飛ぶのはいいなと」 「……そんなにいいものかしら」 首を傾げる霊夢に、青年はただうんうんと頷いただけだった。 もう少しで日が沈む、という時刻になって、神社に来客があった。社殿前を片付けていた青年が境内の方に出る。 上白沢慧音だった。彼も何度か会ったことがあったから、その姿は覚えていた。慧音は青年に気が付くと、軽く挨拶をしてくる。 「やあ、こんにちは」 「い、らっしゃい、ませ」 「……ああ、話せるのか」 慧音がやや驚いたような声を上げた。青年は少し考えて、そういえば言葉を直に交わすのは初めてだったと思い出す。 だから、軽く頷いて、苦笑気味に告げた。 「一、応。あまり、得意ではないです」 「うん、話せないと思ってたから、本当に指示を受けるだけのところの仕事を探したんだが……」 「いえ、助かります」 青年は大きく礼をした。話すのは苦手で、接客など以ての外だった。人付き合いは好きなのだが、それとこれとは別であった。友人として接するのと、商売として接するのは次元が全く違う。 ふと、友人なども慣れた相手になると、話す前に大体の予測を付けてくれるようになっていたことを思い出していた。不思議なものだが、そういう慣れというのも人間にはあるらしい。 もはやそんな相手も、外の世界には残っていないが。 「とりあえず、春先からの働き口はあったから、そこに優先的に入れるようにはしたよ」 「あ、りがとう、ございます」 訥とした口調で、彼は礼を言った。それに慧音が何か返す前に、奥から霊夢が出てきた。 「あれ、どうしたの、慧音」 「ああ、彼の仕事の話をしに。後でまたこちらにも顔を出すけれど」 霊夢は頷いて、彼の方をちらりと見た。彼はただ頷いた。そういうことだと言っていた。 「一旦また戻るの?」 「うん、年の瀬なのだけど、まだ少し」 「師走とはよく言ったものね」 「違いない。年を越してしまうかもしれないから先に。よいお年を」 「ええ、よいお年を」 「よい、お年を」 青年も最後だけ会話に加わった。テンポのよい会話には入り難い。ただ、聞く専門でいるのも嫌いではなかったから、その性格だけは救いであった。 慧音は軽く手を上げて、夕闇の迫る空へ浮かび上がっていった。青年と霊夢は並んでそれを見送った。 慧音を見送った後、居間に移って青年と霊夢は向かい合って茶を飲んでいた。 もうじき忙しくなるから、その前に一服しているのだった。しばらく無言で茶を飲んでいたが、不意に霊夢が口を開いた。 「春になったら、あんたはどうするの」 「働き、ます」 「そうじゃなくて」 霊夢は首を振った。青年にはいくつか選択肢がある。外の世界に帰ること。幻想郷に留まって里で暮らすこと。そして他にも。 そのうち、外の世界という線は、実は消えていた。 幻想の境を越えてしまったとき――紫に神隠しをされたわけでなく、偶発的な事故によってこちらに零れ落ちたとき、彼は向こうの時間軸と大きくずれてしまっていた。 帰っても、彼を知る者はなく、彼が帰る場所もない。 それを知ったときは流石にショックだったらしく、普段から話さない彼がさらに無口になって沈み込んでしまった。密かに泣いていたのかも知れない。 霊夢は慰めなかった。下手な慰めは逆効果なのを、本能に近い部分で知っていた。 だから淡々と日常の仕事を――幾分か軽めなものを――振った。彼も応じた。ただ働く方が楽なのだった。 結局、否応なしに彼は幻想郷で生きることになった。里には下りられなかった。 秋の終わり頃に起こった不意の大風でいくつか家屋が倒れており、外から来た新参者の住居に割く労力がなかった。 途方に暮れた彼に対し、状況が整うまでという話で霊夢は神社への居候を許した。そもそも最初からこのときに至るまでも居候していたから、別段変な話ではなかった。 春になるまでにはどうにかなるだろう、という里からの話にも、霊夢は「そう」と返しただけだった。そのときに彼の仕事についての斡旋の連絡も受けた。 それらについて彼は何を思ったのかは知れない。彼はそのことについて何も言わなかったし、今も言わない。 もっともその話のときに彼はそこに居らず、戻ってきた彼に霊夢が慧音との話を説明したのだった。そのとき彼は慧音に丁寧に礼をしただけだった。 ただ声が咄嗟に出なかったらしいが、それを見て慧音は彼が話せないものと勘違いしたらしい。それが幸いになったとも言える。 「春になったら、里に下りるのかって話」 「ああ」 彼はため息のような声を出した。少しだけ目を伏せて、だが何も言わなかった。言葉に迷っているのか、言わずにいたいのか、どうにも判然とはしなかった。 霊夢は促さなかった。それはただ彼自身が決めることであって、霊夢が何かを言うべきことではなかった。 それをわかっているのかいないのか、彼はぽつりと呟いた。 「霊夢、さんは」 どう思うのか。その言葉の先を悟った霊夢は、首を横に振った。 「あんたの好きにすればいいわ。私が決めることじゃないもの」 こくりと彼は頷いた。決断は自分ですべきものであった。誰にも出来ないことだった。 彼はなにも言わなかった。だから霊夢も何も言わなかった。無言のまま、しばらく二人は茶を啜っていた。 不意に来客の気配がした。どちらにとって奇貨になっていたのかはわからない。青年が先に視線を逸らして時計を確かめた。 もうそろそろ、屋台なども準備をする時間だ。魔理沙も戻ってきたのかもしれない。 「人、かな」 「どうかしら。人でない奴らも来るからね」 青年は笑って、準備の手伝いをすると言いおいて部屋を出た。霊夢も立ち上がった。 部屋を出て社殿の方に出てみれば、賑やかになってきている境内が見えた。 屋台もちらほらと出始めている。このまま、年明けまで騒ぎ明かすのだろう。 青年も手伝いに入っていた。屋台同士の間の確認や、資材を見て行っている。何か手伝えることはがあれば手伝ってくるのだろう。 それを見ながら、霊夢は息を吐いた。白い息が、少しの間だけ闇を漂って消えていった。 雪は深い。まだ春は遠い。 遠く除夜の鐘が聞こえてきた。命蓮寺の鐘だろうか。 一年が終わる。それはまた次の一年を生きるということ。 覚悟も達観も諦観もなくても、この世界で生きていかねばならない。 それは何ともまた残酷なものであり、幻想郷はそれら全てを受け入れるのだった。 今はただ、それだけだった。 霊夢と居候02(うpろだ0021,旧うpろだ0060続き) 冬の只中。あらゆるものが白く染まる季節だが、それでも生きていかねばならない。 青年は額の汗を拭いながら、雪かきを続けていた。 神社ではない。里での日雇いの仕事だった。今年はとかく雪が多いとかで、こうした日雇いの仕事も度々あるのであった。 神社に何もせず世話になっているのも気が引けるので、こうして日銭の稼ぎに出ていたりはする。 後少しというところで、休憩が告げられた。この分ならば日が落ちる前には神社に帰れそうだった。 休憩所で茶をもらい、それを啜っているといきなり背後から声をかけられた。 「よう」 「あ」 知り合いの姿に、青年は一言二言声を詰まらせた後、曖昧な笑みを浮かべて一礼した。 本当は飛び上がりそうな程驚いたのだが、どうにも鈍い所為でそういう反応になる。 かわりに、吃音の癖のあるためか、言葉は全く出てこなかった。 「ああ、無理はしなくていいぜ。驚かせたか」 「う、ん。大丈、夫。魔理沙、何か」 辛うじてそれだけを口にする。何か用があって話しかけたのか、と聞きたかったが、その後の言葉が出てこなかったのだった。 「別に用って程じゃなかったんだが、見かけたんでな。里にいるのは珍しいな」 「春まで、でも、日雇いくらいは」 「律儀な奴だなあ」 青年は、再び曖昧な表情で応じた。霊夢のところに居候していて、神社のことも手伝ってもいるが、さすがにそればかりというわけにはいかない。 春からは里に仕事を用意してもらっているが、だからといってそれまで無為徒食というわけにもいかないからだった。 魔理沙はそれに気が付いたのかどうか、話の方向を変えた。 「雪かき、危なくないのか」 「組作ってる、し。俺は、雪を運ぶのもやってる、から」 「ああ」 雪を捨てる場所までは当然のことながら距離がある。幾つか組を作ってのことだから作業は早いが、雪を運ぶ頻度もそれに応じて上がるだろう。 「大変だな」 「神社でも、やってるから。運動不足には、ならずにすむ」 今度はきちんと笑って、ずず、と茶を飲み干す。休憩が終わる号令が響いてきた。 「すまん、休憩の邪魔したか」 「いや、大丈夫。気分転換に、なった。後少しだし」 「じゃ、私はこれから神社に行くから、霊夢にそう遅くならないって伝えておく」 「ありがとう」 別にいい、というような仕草と共に、魔理沙は寒空に上っていく。 見送った後、青年は近くにおいてあったスコップを手にした。言ったからには、早めに終わらせたいところだった。 「というわけで、仕事してた」 「そう」 親友の報告に、霊夢は気のない声で応えた。ずず、と何を考えているかわからない顔で茶を啜っている。 魔理沙としても予想外の反応というわけではなかったので、炬燵に手足を突っ込んで温まることにした。 「あいつ働き者だなあ」 「そうね。単に居候してるだけなら追い出してるかも知れないけど」 「霊夢本当にやりそうだからなあ」 魔理沙はそう言いながら、茶が入った湯のみを炬燵から出した両手で包んだ。会話している間に霊夢が入れてくれていた。 その後一つ二つどうでもいい話をしていると、夕日の明かりが障子を叩いた。 「遅いな。割と早く上がるって言ってたんだが」 「雪道だからね。でももうそろそろじゃないかしら」 霊夢は茶のおかわりを自分の湯飲みに入れた。魔理沙も図々しく湯飲みを差し出す。差し出しながら、首を一つ傾げた。 「晩飯はどうするんだ?」 「帰ってから作るけど?」 「ああ、そうじゃなくて」 魔理沙が意外そうに言ったのを見て、霊夢が逆に不思議そうな表情をする。 「何か変? 帰ってからじゃないと冷めるでしょ」 「いやまあ、そうだが」 魔理沙が意外なのは霊夢がそこまでの気遣いをしてやっていることなのだが、直接口には出さない。 丁度そのとき、戸をノックする音がした。青年が帰ってきたのだというのは魔理沙にもすぐわかった。 霊夢は立ち上がると部屋を出ていった。出迎えるのは珍しくない。彼がとにかく喋らないため、実際に顔を合わせないと会話がしにくいのだ。 魔理沙は炬燵で手足を温めながら、部屋が寒くならないように丁寧に閉められた障子を通して聞こえてくる声に耳を傾けた。 「材料? もらったって? じゃあ、鍋にしましょ。あ、魔理沙も来てるから大丈夫」 霊夢の声だけが聞こえてくる。どうやら、今日の報酬には何か食料も含まれていたらしい。二人分の足音が近付いて、途中で止まった。 「ああ、湯に先に入ってきて。こっちは鍋の用意してるから」 「……本当に仲良いよなあ」 呆れたような魔理沙の声は小さくて、当の本人達の耳には届かなかった。 台所で魔理沙が食事の用意をしていると、針妙丸が姿を現した。 「こんばんは」 「よう」 「霊夢に誘われたから出てきたよ」 魔理沙は曖昧に頷いて、針妙丸に出汁の具合を見るように小さな器に分けて渡した。 「あ、おいし。いいんじゃない?」 「それじゃこんなものか」 満足そうに頷く魔理沙を見ながら器を置いて、針妙丸はきょろと周りを見回しながら尋ねる。 「霊夢は? 向こうにもいなかったけど」 「あいつを呼びに行ったよ」 「そっか」 針妙丸は相槌を打って、少しどこか呆れ気味のため息をつく。魔理沙はそれを見逃さなかった。 「どうなんだ、あいつら」 いろいろな意味を込めた言葉を口にしながら、鍋が冷めないように蓋をする。後はこれを運ぶだけで良い。 「仲良いよ。端から見てると焦れったいくらい」 「やっぱりそうか」 鍋の具合を見ながら、魔理沙はうんうんと頷く。 「あいつ、春になったら里で働くって言うが、ここから出て行くのかな」 その問いに、針妙丸はわからないというように首を傾げた。 「さあ、出て行くつもりなのか、そうでないのか」 「何か言ってないのか」 「霊夢は何も言わないし、あの人も何も言わないし」 「そっか」 魔理沙は曖昧に頷いた。特にそれ以上は突っ込まない。 霊夢とは長い付き合いだが、浮いた話は特になかった。だからこそ逆に突いてやるべきなのかもしれないが。 「あら、いいわね、お鍋って」 「うお、いきなり出てくるな」 空間が歪む嫌な音と共に、八雲紫が顔を出した。本来冬眠中のはずの彼女が出てきたことに、魔理沙は訝しむ。 「何だ、冬眠はやめたのか?」 「たまには起きることもありますわ。中休みみたいなものよ」 「そんなものか」 魔理沙は適当に受け流した。どうせきちんと理由を聞こうとしても答えないだろうことはわかっていた。 紫は曖昧な笑みのままその態度を受け入れて、ふと思い出したといった様子で尋ねる。 「霊夢は?」 「ここの居候を呼びに行ってるよ。ああ、でも遅いな」 実際はそれほど時間は経っていない。待っている時間は本人達が思っているよりも長く感じるものだった。 「見てきましょうか?」 「それで野暮になるのも、なあ」 魔理沙は曖昧な返しをした。実際にはその可能性は低いと思っていた。どうにも、もどかしい距離感なのだ。 「では、待つとしましょうか」 くすり、と紫は怪しげな笑みを浮かべて、良いお酒でも持ってきましょうか、と隙間の中に入っていった。 「もう出来るわよ。ご飯」 「あ、あ。ごめん、すぐに」 青年の部屋を訪ねて、霊夢はそう彼に告げた。薄い明かりだが、作業する分に支障はない。 外から月明かりが入ってきているのもある。雪に反射して、ほんのりと明るい。互いの表情を見るのに支障はない程度には明るかった。 「片付け?」 「服を、かたしてただけ、だから」 青年の言葉に嘘はなかった。洗濯するにも、冬は時期を見計らわないといけない。 「次の晴れには一気に洗濯かしら」 「うん、手伝、う」 「よろしくね」 そのときにはまたいろいろと冬の間の作業もしなければならないだろう。 雪かきもそうだが、また買い出しにもいかねばならない。まだ当分はそうした生活が続くはずだ。 冬が過ぎたら、もう少し過ごしやすくなるのだが。そうなったら。 どちらが先にその思いに至っていたのかはわからない。何も言わない。霊夢も彼も。どうするかさえも。 先に口を開いたのは霊夢だった。けれどもその内容は簡単なもので。 「さ、行きましょう」 「は、い」 応えて、青年は霊夢の方に身体を向けた。向けた瞬間、ぐらりとバランスを崩した。 畳の上には何もなかったはずなのに、何かに足を取られたような転び方だった。 そのまま倒れ込み――倒れ込むときに、霊夢を巻き込んでしまう。 「っ……!?」 青年も霊夢もかわせなかった。畳の上にそのまま倒れ込む。 柔らかい感触が手のひらに触れる。 捕まえてしまった腕は細かった。 触れてしまった身体が温かいのは、きっと暖かい部屋で温まっていたから。 視線が近い。いつも静かなその瞳が、僅かに驚いたように見えて―― そう思った瞬間、天地が逆転した。 投げられたのだと気が付いたのは、したたかに背中を壁に打ち付けた後だった。 上下ひっくり返ったままずり落ちる。重力に引かれるままに情けなく畳に転がった。 「……ごめん、つい」 「い、いや、こちらも悪、かっ」 言葉に詰まりながら、慌てて身体を起こして謝罪する。霊夢は何事もなかったかのように立ち上がって、ぱんぱんと手をはたいた。 「お鍋、そろそろ出来てるはずだから」 障子に手をかけて、霊夢はちらりとだけ振り返った。 「先に、行ってるわ」 「は、い」 こくりと頷き、青年は身を正して起きあがった。 起きあがった後、自分の手をしばらく見つめ、そして一つ小さく息を吐いた。 長くもない廊下を歩いている途中、霊夢は立ち止まって呟いた。小さいが、はっきりとした声で。 「紫でしょ、さっきの」 「あら、余計なお世話でした?」 空間の歪む音とともに、紫が隙間から上半身を出してくる。 「余計なお世話とかそう言うのではなくて。何故あの人に」 「あら、ちょっとした悪戯ですわ。妖怪はそうした悪戯をするものでしょう?」 「誤魔化さないで」 「誤魔化してないわ。悪戯を仕掛けたのは、何も彼に対してだけではないもの」 その言葉を聞いて、霊夢は静かに紫を見やった。瞳の光は鋭く射抜くかのようだったが。それに対して紫はあら怖いと言っただけだった。 「何が狙い? もう彼は幻想郷の住人よ。獲物にするには当たらないはずだけど」 「ええ、そうですわね。彼は我々の食事にはなりません。彼自身が危険なことをしない限りは」 「ならばどうして」 霊夢の言葉は静かに詰め寄るかのようだった。感情が含まれていない分、その言葉には凄みがあった。 紫はくすりと笑って、それがまるで稚気の現れだと言わんばかりに核心に触れてみせた。 「触れることも避けていたようだったから、少しお手伝いしたつもりだったのですけど」 「この場で退治されたいようね」 「あら、怖い。でも、嫌ではなかったのでしょう?」 「ゆか――――」 言い掛けた言葉と放たれた札は、虚空を貫いて行ってしまった。 紫が去った空間を睨みつけて、霊夢はそっと自分の身体を抱くように両腕を自分の肩に回した。 一つ大きくため息をついて、そして何事もなかったかのように歩みを進め、居間に戻る。 「おう、霊夢遅かったな。あいつは?」 「すぐ来るわ」 魔理沙の言葉にそう告げて、炬燵の中に足を入れる。炬燵の中は暖かかった。 卓の上にはすでに鍋が用意されている。 「ん。あ、紫がさっき来て酒持ってきて――というか今出してきたんだけどさ」 「そうそ、隙間の中から」 針妙丸が、小さな彼女用の器に酒を入れてもらっている。 霊夢は紫をちらりと見た。紫は涼しげな表情のまま、霊夢にも酒を勧める。 「あら、そんな顔しなくても霊夢の分もありますわ」 霊夢はそうじゃない、と言いたげであったが、特に何も言わずに自分の分のぐい呑みを差し出した。 間もなくして、遅くなりましたと辿々しく告げて青年が入ってきた。 「すまんな、先に食べてた」 「いや、遅れたのは、こっちだから」 言いながら、青年も炬燵の中に足を入れる。ほうと一つほっとしたようなため息をついた。 そうぬくぬくし始めてた青年の前に、霊夢は鍋の中身を適当によそって置いてやる。まだ十分に量はあるにはあったが、そうしたかったのだった。 「あ、りがとう、ございます」 「何だ、甲斐甲斐しいな、霊夢」 「ほっとくとあんたが全部食べるでしょうが」 軽口に軽口で返して、霊夢は自分の分もよそった。いただきます、と手を合わせた彼に、今度は紫から声がかけられる。 「貴方も如何?」 「あ、え、あ、いた、だきます」 酒を勧められて、青年は遠慮がちにぐい呑みを差し出す。とくとくと注がれたそれを手に一つ礼をして、口を付ける。 どうもこの青年は紫が苦手なのか、それとも慣れていないのか、妙に萎縮する。 当人曰く、他の妖怪よりも何だか怖い、くらいの感じ方らしいが。 「それにしても、寝てなくていいの、紫」 「たまに起きもしますわ。また寝ますけれど」 「ずっと寝てればいいのに」 相変わらずの言葉を告げた霊夢に、まあまあと適当な返しをしながら、紫は酒のおかわりを注いでくる。 「誤魔化されないから」 「あら、誤魔化されてくれてもいいのに」 霊夢と紫の応答に、青年は素直に首を傾げていた。こうした会話に、彼が口を挟むことはない。 不思議そうな顔をしていたものの、また鍋を食べ始める。空腹だったのか、すぐに空になってしまったそれを、今度は自分でよそっていた。 「また降り始めたな」 不意に魔理沙が呟いた。こもった空気を入れ換えるために障子を少しばかり開けていたのだった。 いつの間にか、雲が月を隠していた。静かに雪が降り始めている。 「あー、また冷えそうだねえ」 「あったかい、布、追加しようか」 針妙丸に向かって、青年が首を傾げた。 彼女が部屋にしているところも寒くなりすぎないように霊夢が配慮してやってはいるが、それでも寒いことはある。 「あ、それは助かるかなあ」 「うん、霊夢さん」 「いいわよ。押入かどこかに余ってたはずだからそこから持って行って」 じゃあ、後で取り出す、と青年は応じて、手元のぐい呑みをくいと傾けた。 「私の分の布団も頼む。どのみちこれでは足止めだからな」 「最初から泊まるつもりだったでしょう」 霊夢は呆れたように首を振った。まあなと魔理沙は笑う。 青年はその二人を見比べて、何度か口を開閉させた後ただ頷いた。そちらもそうする、という意思表示だった。 「次は春かしらね、私は」 紫は何気なくそう言って、彼のぐい呑みにもう一つ注いだ。青年は一礼してまたそれを口に運ぶ。 「貴方も里で働くのでしょう? ああ、安心して。余程自分から命を捨てようとしない限り大丈夫よ」 「感謝、します」 「礼は必要ないわ。それが決まりですもの。そして、春になったらどうするの?」 紫の問いに、興味深げな視線を向けたのは針妙丸と魔理沙だった。霊夢はちらとも見ずに酒を飲んでいる。 青年は口を開閉させて、けれども言葉がすっと出てこなかったのか、ぺこりと一つ頭を下げた。 「勘弁してほしい、というところかしら」 紫の言葉に、青年は何度も頷いた。仕方ないわね、というようにため息をついて、紫は態度を崩した。 「酔わせたらもう少しいろいろ聞けるかと思ったんだけど」 「そんな理由で酔わせるな」 「まあまあ霊夢、意外に面白いかもしれないぞ。ほら、もっと飲め」 魔理沙に薦められて、青年は困ったように霊夢に助けを求める視線を向けた。 「……後で、布団の用意を自分ですることになっても知らないわよ、魔理沙」 「…………この時期にごろ寝は怖いな」 魔理沙が薦めを緩めて、青年はほっと息を吐く。 「あり、がとう」 「どういたしまして」 霊夢は素っ気なくそう答えて、開いている障子の向こう側の景色に視線を移した。 外はまだ雪が深々と降り続いていた。 何もかもを埋めてしまうかのように、静かに降り続いていた。 うpろだ0045 「ふぁ~ぁ~」 縁側に寝そべりながら外の風景を眺める。 庭に植えられている桜も散り、新緑が芽生える初夏。 昼寝するには持ってこいの気候だ。 「このまま寝ちまおうかなあ……ふぁ」 溢れ出る欠伸を抑える事もせず、全身を弛緩させ、怠惰を貪る。 休日というのはこうでなくちゃな。 「食べた後すぐ寝っ転がると牛になるわよ」 居間の方から声が聞こえる。 首だけ振り向くと、お盆を手にした霊夢が呆れを抑えきれない表情でこちらへと向かって歩いていた。 霊夢と俺は夫婦という関係にある。 数年前、外の世界から幻想郷へ迷い込んだ俺は紆余曲折あって霊夢と結婚する事になった。 結婚後、俺は博麗神社へと住み込み、霊夢と生活を共にしている。 「はいお茶。飲むでしょ?」 急須を傾けてお茶をお椀へと注ぐ。 断りを入れながらも既にお茶を注いでいるのは、朝食後の一服が俺達の生活に組み込まれている為か。 こういった細かい所に、結婚生活の喜びを感じ、思わず頬が緩みそうになる。 「ありがと。頂きます」 「はい」 夫婦二人、肩を並べて縁側でお茶を啜る。 庭の風景を眺め、風が木々を揺らす音を聞きながら、静かな時間が流れる。 時折思いついたように、お互いが話したい事を話し、相手が頷いて。 話が終わるとまた静寂が訪れる。 言葉を交わさずとも満たされた気持ちになれるというのは、数年前の俺からしたら考えられない事だろう。 急須の中身が空になる頃、俺の隣に正座していた霊夢がおもむろに足を崩す。 所謂女の子座りというヤツだ。 霊夢は傍にあるお盆に載せてあった木箱を取り出す。 霊夢がこちらへ向き、自身の膝を両手でぽんぽんと叩く。 「今日もするんでしょ?」 「……おねがいします」 これも、俺達の生活習慣の一つなのだろう。 互いの仕事が休みの日、俺は霊夢に耳掃除をしてもらっている。 いつから始まったかは正確に覚えていないが、切欠は今でも覚えている。 結婚前、博麗神社に遊びにきていた俺は、居間にあった耳かき棒を借りて耳掃除をしていた。 幻想郷に耳かき文化がある事を知らなかった俺は、長い間耳掃除をさぼっていた。 たまたま見つけた耳かき棒を借りて、セルフ耳かきを行っていたが、 長期間放置していた為か、耳垢が外耳にこびり付き、上手く取れずにいた。 そこに霊夢が現れ、耳掃除をしてくれる事になった。 頭を振り回しながら耳かきしている俺を見て不安に思ったようだ。 その後、博麗神社に遊びに行ったら霊夢に耳をかいて貰うという事が恒例となり、 結婚後も続いている、という訳だ。 ちなみに、いつもして貰って悪いという事で、俺が霊夢の耳掃除をしてあげたいと提案したら鼻で笑われた。 急須の乗ったお盆を端へ避け、霊夢の太腿へ寝転がる。 霊夢の身体に対し、頭を垂直に向けて太腿へと乗せている為、逆さではあるが霊夢の顔を真正面から見る事になる。 幻想郷にきたばかりの頃は少女らしい、幼い顔つきをしていた彼女であったが、 今では女性らしい落ち着きを湛えた表情を見せる。 「何ボサッとしてんの? 右耳、向いて?」 「……おう」 見とれていた、なんてとてもではないが口には出せない。向こう一ヶ月はからかわれる事になるのが目に見えている。 思わず勢い良く顔を左側に向けてしまう。恥ずかしがっているのが丸分かりだが、仕方がない。 そんな事を気にした様子もなく、先程取り出した木箱の中から、竹製の耳かき棒、ちり紙を取り出す。 「じゃあ、始めるわよ。まずは外側からね」 ちり紙を使い、耳の外側部分を擦る。 「あんたお風呂の時耳洗ってないでしょ? 垢溜まってるわよ」 しょうがないわねー、と言いながらも、窪みの部分まで丁寧に擦り上げ、綺麗にしてくれる。 普段はだらけている印象が強いが、本気を出した彼女の仕事は誰よりも丁寧で繊細だ。 ただ、その本気が特定の分野のみでしか発揮しない事が何よりも問題である。 まあ、数少ない分野の内に耳掃除が含まれている事はありがたい所ではあるが。 そうこうしている内に外側の掃除が終わった様だ。 残りカスを細い指を使って優しく払ってくれる。 「じゃあ、耳かき棒入れるわよ。痛かったらちゃんと言いなさいよ?」 幻想郷における耳かきは、現代日本のそれと余り変わりはない。 先端は匙の様になっており、反対側には梵天もついている。 匙の部分が耳の穴の入口に触れる。 すーーーっ 表面をなぞる様に棒が走らされる。 入口付近の浅い部分を、円を描くようにかきあげる さりさりっ…すすーー 時折細かい耳垢を巻き込みながら、徐々に奥へ奥へと進入していく。 「どう? 痛くない?」 繊細な作業をしている所為か、声のトーンを落として囁く様に霊夢が尋ねてくる。 耳元を吐息が撫ぜて、こそばゆさに身が震えそうになる。 「……うん。大丈夫」 そんな様子を悟られたくなかったので、平静を装う様に反応してしまう。 「そう。じゃあ続けるね」 耳の穴の中に生える産毛を撫でながら、奥へと進んでいく。 つつーー…かりっ、かりっ 時折、薄く張り付いた耳垢を見つけては、匙を器用に使って剥がしていく。 「おっ、綺麗に取れたわね~」 一旦耳かき棒を取り出し、取れた獲物を掌に載せる。 「見たい?」 「遠慮しとくわ……」 「あっそう。中々良い作品なんだけど」 大人っぽい表情を見せるようになっても、こういう所はまだまだ子供っぽい。 まあ、そこもまた可愛い訳なんだが…… 取り出した耳垢をちり紙の上に乗せ、耳かきを再開する。 「ここ、溜まってるわね。そろそろ本気をだそうかしら」 再び耳の中に進入した匙が、皮膚に触れる かさっ…かりっ…かりかり 霊夢の言葉通り、本格的に耳垢をかき始めた様だ。 匙の動きに合わせ、耳の中から頭全体へと細かな振動が伝わってくる。 「……んっ」 心地の良さに、思わず声を漏らしてしまう。 「今の気持ち良かった?」 俺の反応に気を良くしたのか、霊夢が訊ねてくる。 「……おぅ」 声を漏らしてしまった恥ずかしさと、耳かきの気持ち良さで、つい反応がおろそかになってしまう。 「そう」 満足気な声。横を向いているので顔は見えないが、さぞ良い笑顔をしている事だろう。 かさ…かりっ、ぺりっ… 「んぁあ!?」 一際強い衝撃が脳髄に叩き込まれる。 どうやら大きな塊を一気に引き剥がしたらしい。 一瞬の痛みの後、途方もない快感が耳の中に広がる。 「大丈夫!? 痛かったの?」 霊夢が心配そうに声を掛けてくれる。 「大丈夫。 いきなりだったからびっくりしただけだよ」 強い刺激を脳に直接放り込まれ、声を抑える事ができなかった。 「続けても平気?」 「むしろお願いしたいかな……」 あの気持ち良さをまた体験したいが為、改めて霊夢に耳を差し出す。 ぐっ…ぐぐっ… ある程度耳垢を取り終えた所で、霊夢はかき方を変えてくる。 今度は耳の中をマッサージするように、壁に圧力を掛けながらスライドさせる。 ぐぐっ、かさかり…ぐぐー 耳内に少量残っている粉状の耳垢を、匙を使って器用に払い、また押し付ける様にマッサージを行う。 耳の中には無数のツボがあるという話を聞いた事があるが、あながち嘘ではないかも知れない。 「どう? ここ、気持ち良いでしょ?」 霊夢が耳の奥の壁に匙を押し付ける。 背筋を通って全身に快楽が広がっていく。 「うん……」 耳垢を取る時のような、鋭い刺激を伴う気持ち良さとは違う、 優しさを孕んだ、全身に染み渡るような気持ち良さ。 じわじわと快楽に侵食され、意識が落ちてくる。 眠くなってきた…… 「でしょ? あんた、いつもここ押すと気持ち良さそうに反応するのよね」 どうやら弱点を握られている様だ。 まあ、膝枕されて耳に棒を突っ込まれている時点で、生殺与奪の権利は彼女にあるのだが。 「……? どうしたの? 眠いの?」 「……うん」 彼女が何を言っているのかは理解できるが、自身の反応が鈍くなってきている。 「ちょっと、今日買出し行くんでしょ? お酒、今日の分ないわよ?」 「うん……」 段々自分がどう反応しているのか分からなくなる。彼女が何を言っているのかも聞こえなくなってきた。 「まっ……しょう……わね。あん……わたしが……」 「……くー」 彼女が散々文句を言っている所で、俺は意識を手放した。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「まーた寝ちゃったか」 片方を掃除し終えた所で、もう彼の意識は無かった。 耳かきをしてあげるといつもこうだ。 片耳を終えた頃には、大体寝てしまっている。 「よいしょ……っと」 横に向いたまま眠っている彼の顔を正面に向ける。 安らかな寝顔。子供みたい。 「よしよし」 くしゃり、と頭を撫でてやる。少し癖のある髪が、私の手に絡んで、解けていく。 髪、伸びてきたわね。次の休みに切ってやらないと。 「……んー」 頭を太腿に擦り付けられる。 彼の癖だ。枕の上でやっている所は見た事がないから、どうやら私の膝枕限定の様だ。 普段そのようには見えないが、性根は甘えたがりなんだろうか。 「……かわいいなあ」 ぐうたらで、お酒に目がなくて。 でも、私の事、大事にしてくれて。 そんな彼が、愛おしくて堪らない。 彼の頭を撫ぜながら、寝顔を見る。 結婚前から続けている習慣の一つだが、未だ飽きそうにない。 時間が許すなら、一日中だって見続けても良い。 まあ、その前に私の膝が限界を迎えるだろうけど…… 彼が寝付いてから結構な時間が経った。 私はまだ彼の頭を膝に乗せ、寝顔を見たり、頬を突っついたり、と幸せな時間を過ごしていた。 しかし、ここで一つの問題を思い出す。 「どうしよう。買い物行かないと今日分のお酒がないわ……」 それどころか、明日から食べる物もない。 今日は絶対に買出しに行かないとまずいんだけど…… 「……くかー」 起こせない。 こんな幸せそうな顔して眠っている旦那を、私は起こす事ができなかった。 何より、そんな旦那の顔をまだ見ていたいから、起こそうという気がまったく湧いてこない。 「こりゃあ、買い物は昼過ぎかなー」 今日も私は彼が自然に目を覚ますのを待つ。 「何で起こしてくれなかったのさ」 眠そうな眼を擦りながら、彼が私に問う。 「私も寝ちゃってたのよ。大体、あんたが寝るのが悪いんでしょう?」 「そうなんだけどさ……気持ち良過ぎてつい、なあ……」 段々声が尻すぼみになっていく。 このやり取りも、いつも同じ。 私達の大切な習慣だった。 私達はこれからも、数多くの習慣を積み重ねて、日々を生きていく。 夫婦の関係というものは、こうやって少しずつ形作って行くものなのだろう。 「さあ、急ぐわよ。あんたの好きな銘柄、売り切れるわよ?」 霊夢と居候03(うpろだ0056) 「お世話になりました」 ぺこ、と博麗神社の居間で頭を下げたのは少名針妙丸だった。 聞かされた二人の人間は、目を瞬かせて互いに視線を送る。 「出てくの?」 人間の片方、博麗霊夢が首を傾げる。針妙丸は頷いた。 「今すぐってわけじゃないけど。逆さ城もあのままにしておくわけにはいかないから」 私が管理しないとね、と言いながら、針妙丸は小さな椀の茶を空にした。 「お、かわり、いる?」 訥々とした語りの青年――針妙丸と同じく、この神社に居候している男が、そう急須を手にした。 やや吃音の気はあるものの、それ以外は普通の人間だ。 神社に居候しているがために、幻想郷に変な馴染み方をしてしまっているところはあるが。 「あ、いる。ありがと」 素直に頷いた針妙丸の椀に、新しい茶が注がれる。それを見ながら、ああ、と霊夢が頷いた。 「この前紫と話してたあれこれ?」 「そうそ。そろそろ小槌の魔力も回収できるし、ってね」 また茶を啜りながら、針妙丸はこくりと頷いた。彼女の手元には、打出の小槌がある。 一騒動を起こしたそれも、もう何事かを起こす様子はなさそうであった。 霊夢は何度か頷いて、非常に彼女らしい了解の言葉を告げた。 「まあ、勝手にしなさいな。それでも春まではいるんでしょ?」 「うん、ちょっと雪が緩んできてからの方が有り難いから、それからでいい?」 「いいわよ」 霊夢はこともなげに承諾した。そういう人物だとわかっている。 「じゃ、もう少しだけだけど、よろしくお願いします」 ぺこ、と針妙丸は頭を下げた。 その後、霊夢が茶の追加を入れにいったところで、針妙丸が青年に尋ねた。 「ねえ、貴方はどうするの?」 その問いに、青年は一つ首を傾げる。 「霊夢は今みたいに、『勝手にすればいい』としか言わないと思うけど。春になったらさ」 言わんとするところを察したのか、彼はこくりと頷いた。 「……そ、うとは、言われてる、から」 「うん」 口を開閉しながら言葉を出そうとするのを、針妙丸は急かさずに待った。急かすと逆に言葉が出てこないことを知っているからだった。 「……か、ってに、しようと、思ってる」 「……霊夢も霊夢なら貴方も貴方だね。はっきりさせた方がいいと思うけど」 呆れたような、けれども逃げを許さないような口調で、針妙丸は告げた。 「そ、うだね」 青年は、その厳しい言葉に笑みを浮かべた。ずるいことをしている自覚はあった。 針妙丸はそれを洞察したようだった。大仰にため息をつく。 「自覚があるならさらに性質が悪いね」 「う、ん。ずるい、ってのは、わかってる」 「人間っていうのは、こうもずるいのかな」 「……にん、げん、っていうより、俺が、だと思う、よ」 余計性質が悪い、と針妙丸は首を振った。けれども彼女はきちんと釘は差したし、差された方もそれを理解していた。 その、数日後のことであった。玄関先で声がするのが耳に入って、青年はそちらに足を向けた。 「ああ、いいところに」 「ど、うも」 上白沢慧音が、玄関で霊夢と会話していた。立ち話も、とは思ったが、霊夢が軽く首を横に振った。様子に気が付いた慧音が笑う。 「すぐに戻らねばならないから。今日は少しましだが、明日はまた雪が降りそうだから準備をしておかないと。ここは大丈夫か、霊夢?」 「おかげさまで。しばらく閉じこめられても大丈夫なようにはしてるわよ」 霊夢は苦笑気味に肩を竦めた。慧音からすれば、霊夢という存在は博麗の巫女であると同時に、里から離れて生きている少女でもあるのだろう。 妹紅が過保護だって言うのもわかるわ、と冗談混じりに応じて、霊夢は本題を促した。 「ああ、貴方のことなのだが、里の家の割り当てがそろそろ始まるんだ」 青年は頷いた。春になれば、本格的に彼も里での仕事が始まる。この世界に生きていくしかないと決めた以上、働かねば生きていけない。 幸い、働き口はもう決まっている。何度かもう顔合わせもしていたし、業務内容の確認もしていた。まだ始まるまではわからないが、第一印象は悪くなかった。 「それで、その、貴方の希望も聞いておこうと思って。すぐでなくてもいいが、数日中に連絡をくれると有り難い」 「わ、かり、ました」 やや歯切れの悪い慧音の言葉に、青年はそう応じて頭を下げた。 「うん、ああ、お願いするよ。霊夢、そういうことだから」 「ええ」 霊夢は表情のない声で応じた。慧音は少しばかり気がかりそうな表情をした後、ではまた、と挨拶をして帰って行った。 後には二人だけが残された。僅かな沈黙の後、先に口を開いたのは青年の方だった。 「……霊夢、さん」 「…………いつも言ってるでしょ。それに、わかってたことだし」 好きにすればいい、という言外の言葉を、霊夢は口にしなかった。青年も問い返さなかった。 だが、もうはぐらかす時間は終わりを告げ始めているのだと、それだけは確実だった。 その日の風呂上がり、寝衣代わりの甚平の上に書生羽織を羽織った姿で、青年は家の中を歩いていた。 人を探していた。部屋の中にいるかと思ったが、そこにはいなかった。針妙丸に聞いても知らなかった。 眠そうにしていたのを邪魔したのを謝罪した後、また探している。部屋にいないとなれば、後は。 「……さ、むい、のに」 小さい呟きが、我知らず漏れた。白い息が零れて消える。 ようやく見つけた姿は、凍えそうな程寒い縁側で悠然と湯飲みを傾けていた。 近寄りがたい雰囲気すら持っている少女に、青年は口元を一つ引き締めて近付いた。 「ひ、える、よ」 「少し上せたから」 「なお、さら」 青年は、やはり寝衣の上に半纏だけを着込んで座っている霊夢を見て眉をしかめた。 「お茶をもう一杯だけ。それでいいでしょ」 何を言っても聞かないだろうことを察して、青年は盆を挟んだ反対側に腰を下ろす。 話さねばならないことがあった。それで探していたのだが、見つければこんな寒いところにいたというわけだ。 早く部屋の中に戻って欲しいが、何か思うところがあるのだろうか。 湯飲みは二つ用意されていた。一つは霊夢が使っている。もう一つを勝手に使うことにして、急須から茶を注いだ。茶は少し温くなっていた。 しばらく、ただ茶を啜った。何から話し出せばいいか、青年は考えていた。言いたいことはたくさんあるのに、だからこそ言葉がなかなか出てこなかった。 言葉に詰まることに困ったことは多々あれど、こうした詰まり方は初めてだ、と目を細めて苦笑する。 「春になったら、里に降りるの」 口火を切ったことが霊夢であったことに、青年はわずかに驚いた。だが、表情には出さず、ただ言葉を返す。 「…………霊夢、さんは、俺に、勝手にしろ、っ、て」 「ええ、言ったわ。好きにすればいいとも思ってる」 霊夢はそう言いながら茶を啜った。声から感情は読み取れない。 読み取れないから、結局は自分から言わなければならないのだ。 「かっ、てに、しようと、思ってるけど」 「うん」 「……貴女の、許可、が、ないと、流石に」 「……それは」 霊夢は言い差して首を振った。 「はっきり言いなさい。曖昧な言い方で逃げるのはなしにして」 その言葉は、きつい弾劾のように見えて、事実は異なっていた。 少なくとも、青年はそう受け取った。避け続けていたことを告げなければならないと思った。 ずるい逃げ方をしていたツケが回ってきたのだ。 「……ここにいて、いいですか、霊夢さん」 青年の瞳も声も静かだった。その分、霊夢もまた逃げることは出来なかった。 「……ええ、好きにして」 霊夢の言葉を、青年は誤解しなかった。軽く首肯して、茶をまた啜った。だいぶ熱は取れていた。 こと、と音がした。霊夢が自分の湯飲みを置いた音だった。音は軽かった。 「……私の傍は、きっと面倒よ。妖怪は来るし、あれこれのことはあるし。ここは博麗だしね」 「……それでも」 それでも、と青年は繰り返した。ああ、やはり逃げることは出来ないのだ。 はあ、と一つ大きく息を吐く。白い息が、夜闇に溶けて消えた。 「……貴女に、惚れたから。好きです、霊夢さん」 言葉は突っかからなかった。彼にしては珍しいことだった。霊夢は、小さく息を吐いた。やはり白かった。 沈黙は長くは続かなかった。霊夢がその口唇をそっと開いて言葉を口にした。直接的な言葉ではなかった。 「貴方は」 「は、い」 「……魔理沙のことは呼び捨てで呼ぶのに、私にはそうしないのね」 青年は目を瞬かせた後、ゆったりとした笑みを浮かべた。 「……呼ん、でも、いいなら」 「……貴方が、そうしたいなら。好きにして」 少し目を伏せて応じた霊夢に、青年は頷いた。今回も、やはり青年は霊夢の言わんとすることを誤解しなかった。 手元の湯飲みを飲み干して盆に置く。とっくに空になっていた湯飲みの隣に、音を立てずに置いた。 立ち上がり、軽くなった盆を片手で持ち上げて、青年は霊夢に空いた方の手を差し出す。 「霊、夢。冷える、から。お茶も、なくなった」 「……ええ」 霊夢はその手を取って立ち上がった。手はひんやりと冷えていた。青年は眉を顰めた。 「やっ、ぱり、冷たい」 「……そうね」 「……暖めない、と」 「……うん」 霊夢は頷いた。青年は霊夢が立ち上がったのを見た後に一度手を離し、障子を開けて霊夢を促した。 大人しいままの霊夢が中に入った後、青年も後について入ると、後ろ手に障子を閉めた。障子の中で、影が少しだけ動いた。 外では、雪がまたちらつき始めている。 結局、翌日里に降りることは出来なかった。雪が強くなって外に出られなかったのだった。 そのさらに次の日になって、青年は慧音に神社に残る旨を告げるために里に出てきていた。霊夢も一緒に来ている。 「ああ、そうするのか」 慧音は諒解半分、納得半分のような頷きで返した。青年は申し訳なさそうな顔をして、もう一度詫びた。 「す、みま、せん。折角、いろいろ、してもらった、のに」 「いや大丈夫だよ。それならそれでまた割り当てもあるから」 宥めるように言って、慧音は付いてきている霊夢にも話を振った。 「霊夢もそれでいいんだな?」 「ええ。私の家だし、そこは承知してないとオーケー出さないわよ」 「ならいいんだが」 慧音は曖昧に頷いた。霊夢の態度の素っ気なさと、いつもと変わった様子のない青年から、それでいいのかどうかわからなかったのだ。 恋人同士にも見えない二人が、そうして大丈夫なのだろうかと。 だが、これ以上言葉を重ねるのはよくない気もしたし、野暮になるような気もした。どちらにしろ、確信が持てないままでいる。 「さ、買い出しに行くわよ」 「う、ん。では、先生、これで」 青年は頭を下げると、先にさっさと歩き出してしまった霊夢の後を追いかけ始めた。 「霊夢、速、い」 「貴方が遅いのが悪いの。また雪が降り出す前に帰りましょう?」 慧音は遠くなるそのやりとりを見て、ああ、と優しげに微笑う。 考えているほど心配する必要はないのかもしれない、と思ったのだった。 それが事実である、ということを正確に知るまでには、もう少し時間が必要ではあったが。 幾分か買い出しをし、その荷物を両手に抱えた状態で青年は霊夢に尋ねた。 「……いい、の、か」 「何が?」 「その、っ、と」 言葉を選ぶように、同時に何かが突っかかったように口を開閉しながら、青年は時間をかけて問いを口にした。 「……一緒、に、歩いていると、そういう関係に、見られる、と、思う」 青年が霊夢のところに居候しているのは周知の事実だが、二人で里を歩いたことはない。 しかも、割と近しい距離で歩いている。そういう間柄と他人に邪推させるには十分だった。 青年は、それによる霊夢の評判を気にかけたのだった。青年が素性のよくわからない外来人であることに間違いはない。 だが、霊夢の返答は涼しいものだった。 「貴方は嫌?」 「そうでは、ない、けど」 「ならいいじゃない。別に嘘を吐いているわけでもないわ」 どうせ春になって貴方が降りてこなかったらわかることでしょ、と霊夢はこともなげに告げる。白い息が風に乗って消えていった。 「早いか遅いかだけよ、大したことじゃないわ」 「……ん」 彼は頷いた。そう、自分は霊夢の傍にあると決めたのだから、それでいいのかも知れない。 不意に、霊夢が片手を伸ばした。首を傾げていると、片方の手の荷物を奪われた。 「あ」 「さっさと帰りましょ。陽が落ちるのも早いわ」 重ねられた手に、青年は頷いた。今日の手はどちらも冷えていた。 「はや、く、帰って、炬燵と、火鉢に、火を」 「ええ」 霊夢は微笑んで同意を示した。陽が傾く前の里を、二人でそうして歩いていく。 雪解けはまだ遠い。 けれども、蕾が綻ぶように開き始めた想いは、一足先に春を迎えるのだろう。 この先に、何が待っているのかはまだわからないとしても。 それでも、今はただ、この想いをただ大事に咲かせよう。 35スレ目 322 323 325 322 恋をしていままでどうやって飛んでたかわかんなくなって焦る霊夢さん 323 322 最近幻想郷に迷い込んだ○○のことが気になって仕方がない霊夢さん なぜか飛べないことに気付く 霊夢「な、何で.........!?」 脳内(も、もしかして体重が増えたとか!? いや、このごろお金ないしそれなのに ○○との食事は無理してしっかりおかず作るから自分だけの食事は野草を食べる 始末だからそんなことはないはず! だったら何で!? 自分では飛ぼうと しているのに、体は全く浮かない...はっ!) 霊夢「まさか!!」 数日前 ○○「そういえば、霊夢の能力って飛ぶことだったけ?」 霊夢「...なによ? 地味だって言いたいの? 別にいいのよ能力なんて。 それに、私はそれ以上に強そうな能力もちでも普通に勝てるしね」 ○○「さすがは博麗の巫女だな。でも、少し寂しくもなるなぁ」 霊夢「えっ...ど、どういうこと!?」 ○○「いやさ、霊夢って移動するときはほぼ確実に飛んで移動するだろ?」 霊夢「そうだけど......なんか関係あるの、それ?」 ○○「俺って一般人だから空飛べないし、霊夢の移動は空だろ? そうなるとさ、なんか、霊夢が俺よりずっと遠い所にいちゃうような気がして...」 霊夢「なによそれ? 別にそんな遠くまで行かないし、私だって、歩きの移動もあるわよ」 ○○「......そうだよな、うん。悪い、今のはただの独り言だ。忘れてくれ」 霊夢「はいはい」 そして現在 脳内(ま、まさか○○のあの言葉!? じゃあなんで? 忘れろって言ったかから 忘れたはずなのに...そもそもこのこと覚えてた時点で忘れてないじゃない! じゃあもしかして、○○がああ言ったから、私は○○と歩きたいから...) ......意識しないで、飛ぶことを拒否してるの......!? 再び 脳内(何で何で!? 飛ぶのと○○と歩くのは別でしょ! それが何で飛びたくないに つながるのよ! そ、そりゃ、○○とそんなことはしたいとは思うわよ? でも、何で...ああもう! 何でばっかりじゃない! ううー...どうすれば...?) 1.思い切って○○に相談する 2.他の幻想メンバーに相談する 3.解決できない。現実は非常である 石は投げないでください。 325 322 ぼかぁそっからの覚醒イベントみたいなのとか好きだけどね 恋してうまく能力使えない~時に異変が起こって ボスに苦戦してそのせいで○○が危なくなって そうして初めて自分の恋慕の気持ちを認めてからの 霊夢「『幻想浪漫飛行』博麗霊夢!!」 って名乗り口上からの クッソ強なってて無双する展開 35スレ目 345 (35スレ目の 343に対して) 魔理沙「おおっ、私だ!私が出てるぜ!」 文「あやや、押さないで下さいよ。よく見えない。」 香霖「ふむ、僕も出るのか。熱意が伝わってくるね。」 阿求「私の出番、セーブ係くらいなんでしょうねえ」 朱鷺「出番あるだけいいじゃない」 正体不明「お嬢さん方、くよくよしてても始まりませんぜ。『待てば海路の日和あり』と言うじゃあありやせんか。 なあに、この旦那なら末は太宰か芥川、名文の限りであっしらを活写してくれますぜ。 かあーっ、しみるねえ。」 ルナサ「……あなた誰」 霊夢「……」 魔理沙「霊夢は嬉しくないのか?お前が主人公っぽいぜ。このこのー。」 霊夢「回りくどいのよ。こんなもの作らなくても、私は…」 魔理沙「おおっ?」 霊夢「何でもない。ところで、いつ始まるの、これ。」 魔理沙「ボタン押さないとダメだぜ。」 霊夢「そうなの。ふうん、けっこうおもしろいわね。あ、私。 …え、何、これ。こんな話なの?ふーん…」 魔理沙「お、怒ってるのか?その、あいつも悪気があったわけじゃないと思うぜ…。」 霊夢「いい。」 魔理沙「はあ?」 霊夢「いいじゃない!あいつとイチャイチャできるなんてッ!このゲーム最高! ねえ、ここからどうやって先行くの?」 魔理沙「試作だからそこまでだぜ。続きは作ってもらわないと」 霊夢「作ってもらえばいいのね!」 魔理沙「おーい、帰ってこーい。」 20分後、神社に拉致られてカンヅメにされる○○の姿があったとさ。 35スレ目 386 霊夢「また会えるから、絶対」 霊夢「だから、さよならなんて言わないわ」 霊夢「またね!!」 35スレ目 414 皆の前で堂々とチョコを渡して外堀を埋めにかかる霊夢さん 避難所 57 霊夢「彼、一度寝るとなにやっても起きないわよ」 魔理沙「『なにやっても』ってなにやったのぜ?」 霊夢「…………………」 魔理沙「どうしたの?」 避難所 141 魔理沙「あけましておめでタイガー!!」ガオー 霊夢「はいはいタイガータイガー。タイガーアンドバニー」 霊夢「ねぇ、正月ぐらい自分の家でゆっくりしたら?」 魔理沙「だって……ひとりで寂しい…」 霊夢「かわいい」 魔理沙「霊夢正月予定あるの?」 霊夢「明日○○さんちの実家いくぐらい」 魔理沙「そうなんだじゃあ今日お昼からさ…」 魔理沙「……なんで霊夢が○○の実家に行くの…?」 霊夢「……」 魔理沙「…なんで…?」 避難所 182 ゴォォォ「雪」 早苗「すごい降ってる」 霊夢「こんな降るとは思わなかった。困ったわね」 早苗「泊まってってください」 霊夢「いいの?」 早苗「いいよ」 ピロピロピローンピロピロピローロー『オフロガ・ワキマシタ』 霊夢「!」 早苗「あ、お風呂沸きましたね。一番どうぞ」 霊夢「流石に家の人差し置いて一番はやめとくわ。最後に入らせてもらわね」 諏訪子「うぃ~あがったぞ~」ホカホカ 早苗「霊夢さーんもうみんな入ったんでどうぞ~」 霊夢「はーい」 早苗「あっ上がる時追い焚きだけ消しといてください」 霊夢「はーい」 テレビ「この辺がめっちゃ雪降っててぇマジ寒くてぇ明日はぁ」 早苗「…明日も降るんだ…」 『オイダキヲチュウシシマシタ』ピローン 早苗「…水道凍るかも…」 霊夢「お風呂ありがとう」ホカホカ 早苗「あっごめんなさい使い方わかりました?」 霊夢「あぁうん○○さんちのと一緒だったし」 早苗「そろそろ寝ますか?」 霊夢「うん」 早苗「おやすみなさーい」カチッ 霊夢「おやすみ」 霊夢「…zzz…」 早苗「…」 早苗「………」 霊夢(○○さんちのと一緒だったし) 早苗「……………………………………」 避難所 186 霊夢「ねぇ魔理沙アンタさァ」 魔理沙「うん?」 霊夢「チョコ…作ったことある?」 魔理沙「!!」 魔理沙「あ、あるのぜチョコぐらい…」 霊夢「じゃ、じゃあさ…作り方…教えてくンない?」 魔理沙「いいのぜ」 魔理沙「まず魔法陣を描いてだな」カリカリ 霊夢「魔法陣????」 魔理沙「中央に材料を置いて…」 霊夢「ねぇ魔理沙あの」 魔理沙「チョコデペクトルパトローナームッ!!」ビビビ ボボボンボコッボコボコッゴポォ チョコ「シテ…コロ…シテ…」ピクピク 魔理沙「魔法陣ちょっと間違えちゃったかなタハハw」 霊夢「作るってそういう意味じゃなくてね?」 魔理沙「バレンタインチョコ!?!?」 霊夢「うん」 魔理沙「そんなものを作るってことはまさか…!!」 霊夢「……!」 魔理沙「…私は混ぜる惚れ薬を作ればいいのか…?」 霊夢「いらないわよそんなもん!!」 魔理沙「魔(法少)女に相談するってそういうことじゃん!?」 霊夢「そうなの!?」 アリス「そうわよ」 パチェ「そうわよ」 魔理沙「惚れ薬いらないってことはサ」 霊夢「なによ」 魔理沙「相手はもう霊夢に惚れてるのか?」 霊夢「……………………………そ、ういうことじゃ…なくてぇ…」 魔理沙「だったら入れたほうがイージャン」 霊夢「…そういうのこれからなんだからさぁ…」 避難所 509 咲夜「これ、美鈴が里帰りした時のお土産」 霊夢「ありがと。ちょうどウチも珍しいお菓子あるから食べてきなさいよ」 咲夜「アザーッス」 咲夜「これ、おいしいわね」モグモグ 霊夢「でしょ?でもね、賞味期限短いのにいっぱいあるから…いくつか持って帰ってよ」 咲夜「悪いわね」 咲夜「あっ霊夢も『ディア風呂4』やってるの?」 霊夢「うん」 咲夜「パチュリー様もハマってるんだけどさぁ妹様がゲームしすぎの時怒るに怒れなくてさ」 霊夢「『パチェなんか1日中やってるじゃん』って言うんでしょ」 咲夜「そうそう」ワハハ スマホ『prrrrprrrr』 霊夢「あっ電話ちょっとごめんね」 咲夜「うん」 霊夢「もしもしー?〇〇さん?どうしたの家電からなんて」 咲夜「……」モグモグ 霊夢「えっ…スマホ忘れてないかって?」 咲夜「……」オチャズズズ 霊夢「昨日お土産持ってきた時は持ってたよね?」 咲夜「……、……」グビ 霊夢「ねぇ咲夜、アンタ〇〇さんの番号知ってるよね?ちょっと鳴らしてみてくんない?」 咲夜「えっ??あっ、うん。いいけど…」タプタプ \prrrr/\prrrr/ 咲夜「小さいけど聞こえるわね」 霊夢「ちょっと鳴らしてついてきてくれる?」 咲夜「あっちの部屋から聞こえるかも」 霊夢「寝室か」 咲夜「しんッ」 霊夢「押入れからかすかに聞こえる。ふとん畳む時に、巻き込んでたのかも」スボッモゾモゾ 咲夜「“ふとん”」 霊夢「あったあった」スポッ 咲夜「?……?……??」 霊夢「あっ〇〇さんスマホ、あったよ。うん、いつか取りくる?うん、うん、わかった。うんじゃねー」 咲夜「……」 霊夢「すぐ見つかったわありがと。あ、お茶おかわりいる?」 咲夜「ハイオナシャス…」 咲夜「……」 パチェ「咲夜?」 咲夜「ハイッ」ビクッ パチェ「どうしたの?なんか具合悪い?」 咲夜「い、いえちょっと、ちょっと考え事を…」 パチェ「そう、ならいいけど…それでね、あなたが出かける前に頼めばよかったんだけど魔理沙がスマホを忘れていってね?」 咲夜「!!!!!!!!!!!!!!!!」 パチェ「まぁ家に届けてやる義理もないし預かっといてくれないかしら……ってどうしたの」 咲夜「いえっ別にっあのっなにもっ」 パチェ「……ねぇ、ほんとに大丈夫?疲れてるんじゃない?」 咲夜「だいだい大丈夫デス!!」 咲夜「あ、あの…ところで、その、参考にお聞きしたいのですが…」 パチェ「なに?」 咲夜「ど、どこにあったんです…?…スマホ」 パチェ「……えっ?」 咲夜「いえほら!!魔理沙言いそうじゃないですか!!!『どこにあったんだぜ』とか聞きそうじゃないですか!?」 パチェ「そ、そうかしら」 咲夜「絶対聞きますよ絶対魔理沙はそういうやつです必ず聞きます!!!!!!」グワワッ パチェ「なになになにどうしたのどうしたのこわいこわい」 パチェ「ベッドの上」 咲夜「ベッッッッ!?」 パチェ「ねぇどう思う?いきなりアポ無しで来たかと思えば夜通しゲームしようとかいいだしといてもう眠いから寝るわって他人のベッド占領してるやつ」 咲夜「げーむ」 パチェ「ゲーム」 咲夜「…」 パチェ「……スペルトゥーン3」 咲夜「ですよネェ!!!友達がきた夜はオールゲームですよネェ!!そうですよネェ!!オ゛ォ゛~!!」ホッ パチェ「咲夜!?ねぇ咲夜あなたほんとに大丈夫!?」 咲夜「よかっタァ~…私はてっきり弾幕ごっこかと…あ~でもこれじゃ私がむっつり邪推したみたいで…」フゥー パチェ「どうしたのマジで…」 咲夜「あれっちょっと待って霊夢んちのゲーム機って居間に」 避難所 511 ザァァァ「雨」 コインランドリー『アライモノタスカル』 乾燥機「ゴウンゴウン」 霊夢「…」 乾燥機「ゴウンゴウン」 霊夢「…」 乾燥機「ゴウンゴウン」 霊夢「…」 ウィン「魔理沙」自動ドア 霊夢「あっ」 魔理沙「霊夢ぜ」 霊夢「アンタも乾かしに来たの?」 魔理沙「うん」 霊夢「めっちゃ雨降ってるよね、濡れなかった?」 魔理沙「全部避けたのぜ」 乾燥機「ゴウンゴウン」 魔理沙「なんか毎年雨降る時期あるよな」 霊夢「お洗濯困るからやめてほしいよね」 魔理沙「ねー」 霊夢「ねー」 乾燥機「ピーピロピロピロリー」 霊夢「あっ、ウチの終わったわ」 魔理沙「いーなー」 霊夢「よいしょ」ガポッ 魔理沙「霊夢」 霊夢「なに?」 魔理沙「そのシャツデカくない??」 霊夢「え?そう?普通じゃない?」 魔理沙「そうかな…そうかも…」 霊夢「?…変なの」 魔理沙「霊夢」 霊夢「なに?」 魔理沙「その…パンツ?…男もんじゃない?」 霊夢「え?それがどうかしたの?」 魔理沙「えっ?いや、その…」 霊夢「?」 霊夢「なに勘違いしてるのかわかんないけど○○さんの洗濯物よ」 魔理沙「そ、そうなんだ。てっきり霊夢がそういうの履いてるのかと思ってビビっちゃって」 霊夢「私が履くわけないじゃない」 魔理沙「そうだよなシャツもデカすぎるもんな」 霊夢「シャツはたまに着」 魔理沙「へっ?」 霊夢「━━━━、ウチの、終わったし、そろそろ、帰る、わね、じゃあ、また」 魔理沙「お、おう。またな」 雨「ザァァァ」 魔理沙「…」 乾燥機「ゴウンゴウン」 魔理沙「……」 乾燥機「ゴウンゴウン」 魔理沙「………」 乾燥機「ゴウンゴウン」 魔理沙「…………」 魔理沙(なんで霊夢が○○の洗濯物乾かしてんだぜ…??) 避難所 515 霊夢「ねぇ紫、アンタさ」 紫「なぁに」 霊夢「……やっぱなんでもない」 紫「なんでもないんだ。ふーん」 霊夢「…」 紫「…」 霊夢「アノサァ」 紫「うん」 霊夢「………………男の人と、喧嘩、したこと……ある?」 紫「……あるわよ」 霊夢「ど、どぅだった…?」 紫「こう見えて私、負けたことないわ。全員ワンパンよワンパン」シュッシュッ 霊夢「そういう喧嘩じゃなくて」 紫「そりゃ霊夢に勝てる男なんているわけないものね」 霊夢「どういう意味よ」 紫「それで喧嘩っていうのは、つまり『そういう話』でしょ?」 霊夢「……」 紫「あるわよ。あるわ、喧嘩ぐらい…私がまだ大学生だった時に……」 霊夢「……なんで喧嘩したの…?」 紫「よくある、プレゼントよ。誕生日プレゼント。なんというか、彼が悪かったわけじゃなかったわ。思ってたようなロマンチックなプレゼントをもらえなくて、私が拗ねたのよ。なによエッグスチーマーってマジで、確かにゆで卵好きって言ったけどあれってあの人の手料理に対する褒め言葉であってさぁ」 霊夢「……」 紫「ねぇわかる!?家にあげたのよ!?女の子の一人暮らしの部屋に男の子を呼ぶってね!そりゃあ色々覚悟したうえで…いや別に期待してたとかそういうことじゃないけど…!でもっ……誕生日よ!?わかる!?ムードとか!」 霊夢「う、うん。うん。その……あれだよね……?て、手を繋いだりとか…?」 紫「そうそうそうそう手を繋いだりとかッ…ってコラーッ!純度ーッ!」 霊夢「……それで、どうやって……仲直りしたの?」 紫「聞きたいー?聞きたいー?」 霊夢「……キキタイデス……」 紫「…珍しく彼の方から誘ってくれて。そのデートで…リボン、選んでくれたの」 紫「ほんとはそのことにも思うところはあったわよ…どうせ蓮子のアドバイスだったろうし…でもね…」 紫「私だって仲直りするタイミング探してたもの…許すとか許さないとかじゃないわ、それで喧嘩は“終わり”」 紫の、こういう話し方が……苦手だった。 急に声が柔らかくなった、口元はほのかに笑っているけれど嬉しそうとも楽しそうともいえないような、優しくて、寂しそうな顔。 視線を落とす、紫がつけているリボン。私の視線に気づくと紫はおかしそうにわらった 「これじゃないわよ。さすがにもう、なくしちゃったわ」 これじゃない じゃあどこへ行ったの?どこへなくしたの? じゃあなぜそんなにそのリボンを優しく撫でるの? 記憶に、心に、自分の中にまだ残ってて、隙間に落としたみたいにもう取れなくなってしまう。この隙間の先にあるはずの見えないものにずっと心を囚われていく 母も、そういう人だった。 母が父のことについて語ってくれたことはついぞなかった 父のことをたずねると、決まって『どんな人だと思う?』と問いかけてやっと絞り出したみたいにほんの少しだけ笑うだけだった 私は父について何も、知らない 父と母がどんな出会いをし、どんな逢瀬を重ね、そしてなぜ母や私のそばにいなかったのか、何も知らない 紫「で、“噂のあの人”となんかあったわけ?」 不思議で、不思議でならない 私は“喧嘩”した程度の、この張り裂けそうな胸の痛みに耐えられない。癒すすべを知らない なら、なら 母の痛みはどれほどのものだったのか 紫の痛みはどれほどのものなのか それを抱えて生きていくことを、強さと呼ぶのか、弱さと呼ぶのか 私にはわかるべくもない だから、その痛みを知る者に…教えを請うしかないのだ 私は、ゆっくりと話し始めた 話を続ける自分の声がしだいに弱々しくふるえていくのに戸惑ったが 紫が優しい声で相槌をうつと少しだけ、ほんの少しだけ、一歩とも言えないような情けない前進をすることができたのだ 避難所 635 紅魔館 フラン「咲夜ー」 咲夜「はーい?」 フラン「魔理沙がきたー」 咲夜「えぇ…やだなこんな時間に」 魔理沙「よう」 咲夜「何?」 魔理沙「晩御飯ごちそうになりにきたのぜ」 咲夜「いきなりくるな」 咲夜「いつも思うんだけどさ、アンタさ、アポ取るって概念ないワケ?」 魔理沙「いきなり電話するの失礼だろ」 フラン「電話する前に電話してほしいよね」 魔理沙「友だちのよしみで頼むぜ」 咲夜「私たち友だちだったの?」 魔理沙「(`;ω;´)」 フラン「友だちのよしみっていうならさ霊夢のとこいけばいーじゃん」 魔理沙「そうそうさっき霊夢に会ったんだよ。スーパーでさ、結構買ってて」 咲夜「うん」 魔理沙「晩御飯なんにするのって聞いたら鍋やるっていうからさ、私も誘ってくれるのかなって」 咲夜「なんで誘われる前提なんや」 魔理沙「〇〇んちで鍋だから来るなってさ」 咲夜「━━━━━━━━」 フラン「仲いいね」 魔理沙「仲いいよな」 咲夜「〇〇さんちで鍋?」 魔理沙「うん」 咲夜「霊夢が材料買っていく?」 魔理沙「モツ鍋って言ってたな」 咲夜「二人で鍋?」 魔理沙「二人じめはよくないのぜ」 フラン「よくないよね」 咲夜「ほかになにか言ってなかった?」 魔理沙「え?」 咲夜「なんか言ってなかった?」 魔理沙「な、なんかって?」 咲夜「なんか言ってたでしょ!!」 魔理沙「は、はい」 フラン「急にどうした」 魔理沙「なんだっけ…キムチも買ってたと思う…」 咲夜「キムチは…関係なさそうね…」 魔理沙「霊夢辛いの苦手じゃなかったかって聞いたら〇〇がよく食うって…」 咲夜「…!」 魔理沙「そういえば見たことないリボンしてたかも…」 咲夜「……!!」 魔理沙「心なしかちょっとオシャレしてた気がするぜ…」 咲夜「………!!!」 魔理沙「あ、霊夢に借りてた漫画返そうと思い立ってさ夜にでも返しに行くぜって言ったのぜ。思い出した時にやんないとまた忘れるからな」 フラン「漫画は返すのにパチェの本は返さないのか…」 魔理沙「そしたら『今日は帰らないから来週あたりまた来なさいよ』って」 咲夜「かえらない」 咲夜「かえ」 咲夜「『帰らない』」 魔理沙「泊まるんじゃないかな」 咲夜「『泊まる』」 フラン「仲いいね」 魔理沙「仲いいよな」 咲夜「えっ、待って、じゃあその、今夜あれなの、二人は、弾幕ごっこを、いやでもそうと決まったわけじゃ」 すっかり夏の装いを解いた風が吹くその日、十六夜咲夜は、眠れない夜を過ごすのであった━━━━。 避難所 637 鈴仙「こんにちはー」 フラン「咲夜ー置き薬の人来たよ~」 咲夜「はーい」 鈴仙「頭痛薬全部なくなってるね。補充しとくけど多めにしといたほうがいい?」 咲夜「パチュリー様がよく使うので」 鈴仙「通院するよう言ってネ」 咲夜「出不精でほんとごめんなさい」 フラン「貧弱」 咲夜「はい紅茶」 鈴仙「ありがとぉ~もう最近寒くてさぁ助かるゥ~」 鈴仙「もうあっという間に師走だよぉ早いねぇ」 フラン「もうすぐクリスマスだよ!!」 鈴仙「そうだねクリスマスだねーサンタさんになにお願いしたの?」 フラン「ちいかわの光るやつ!!!これ!!!」スマホスッ 鈴仙「ルームライトかぁかわいいなぁー。私はねーこのちいかわクッションお願いしたんだー」 咲夜「あんた意外とかわいい趣味してるのね」 鈴仙「えーそういう咲夜こそなにお願いしたのー?」 咲夜「ひろがるスカイプリキュアのフィギュアセット…」 鈴仙「うーんかわいい」 鈴仙「ちいかわほんと人気なんだよ?」 咲夜「お嬢様もハマってるのよね」 鈴仙「霊夢さんもサンタさんにちいかわのグッズ頼んだって言ってたし」 咲夜「あのコこういうの欲しがるのね」 鈴仙「ペアのマグって言ってた。ちょっと待って今画像出すから」 咲夜「『ペア』」 咲夜「ペア??」 鈴仙「ん?うん。あー画像出てきたほらこれこれ」 咲夜「マグってマグカップ??マグネットじゃなくて?」 鈴仙「えっなに?」 咲夜「ペアって2つって意味よね???」 鈴仙「ちいかわとハチワレの二種類出てるんだからどっちも欲しいでしょ」 フラン「揃えたいよね」 鈴仙「ねー」 咲夜「そうかな…そうかも…」 フラン「でも仲良しの人と一緒に使えたら嬉しいかもね」 鈴仙「ね」 咲夜「『一緒に使う』」 咲夜「他になにか言ってなかった?」 鈴仙「えっ?そういえばクリスマス◯◯さんとケーキとかチキン食べるって言ってた」 咲夜「クリスマスに男と」 フラン「仲いいね」 鈴仙「仲いいよね」 鈴仙「あとなんか…サンタさんが来る時間のこと気にしてたかも…」 咲夜「サンタさんが来る時間?」 鈴仙「私も詳しくないからさーサンタさんに問い合わせたほうがいいかもってしか言えなくてー」 フラン「寝てる間だから深夜じゃないの?」 鈴仙「ね、だってクリスマスだよ?サンタさんが来るような時間に起きてる人なんていないからわかんないよね」 フラン「ね」 鈴仙「ねー」 咲夜「━━━━」 クリスマスに男を家に呼んでる+サンタの来訪時間を気にする=??? 咲夜「ウワーッ!!アァァァァァ!!」 避難所 801 霊夢さん。 ねぇ霊夢さん。 あのさ霊夢さん。 あなたが私の名前を呼ぶとこを 寝る前に思い出すの 私もそんなふうにあなたの名前を呼べたらなら 一番短い願いと祈りの言葉にする 避難所 932 咲夜「ヨーッス」 霊夢「押忍」 咲夜「これこないだもらったお菓子のお礼」 霊夢「ありがと、お茶でも飲んでく?」 咲夜「カルピス」 咲夜「あら、なにこれ車のパンフレット」 霊夢「うん」 咲夜「あなた車でも買うの?てか免許持ってるの?」 霊夢「違うわよ、◯◯さんが車買い換える予定だから」 咲夜「ふーん」 咲夜「え?なんで◯◯さんが車買い換えるからここにパンフレットがあるの?」 霊夢「なんでって…」 霊夢「『霊夢さんも一応選んでいいよ』って」 咲夜「……なんで人の車選んでいいの…?」 霊夢「……仲いいから?」 咲夜「じゃあ霊夢が車買う時魔理沙に選ばせてもいいの!?」 霊夢「魔理沙とは別に仲良くないしアンタも魔理沙には選ばせないでしょ?」 咲夜「うん」 霊夢「でも私車に詳しくないしさーどういうの選んだらいいとかわからなくてさ」 咲夜「せやね」 霊夢「やっぱいっぱい乗れるように大きい車がいいのかな」 咲夜「いっ」 咲夜「いっぱいってなに」 霊夢「え?」 咲夜「なんか乗る人増える予定があるみたいじゃん!!」 霊夢「そらどっか出かける時いろんな人乗せたりするでしょ…こないだの異変もみんな◯◯さんの車で送ってもらったじゃん」 咲夜「そうだっけ…そうだったかも…」